【損保ジャパン】銀行が企業に融資する場合における売掛金を回収できる可能性をAIで判定し、そのリスクを引き受けるサービスを開始

  1. ニュース

はじめに

企業の資金調達を支援する仕組みを保険を活用して行えるようになりそうです。商品の販売から代金の回収までに時間がかかる企業に、銀行が資金を融資しようとする時に売掛金を回収できるか可能性を判定してそのリスクを引き受けるサービスを損害保険ジャパンが始めます。企業は融資を受けやすくなり、確保した手元資金で次の仕入れを早めることができます。

売掛金をしっかりと回収できるか?

商品やサービスを提供して、代金が手元に届くまでの売掛期間の資金繰りは企業にとって大きな課題になります。売れ行きがよくても手元に資金がなければ次の仕入れに動けない。財務省の法人企業統計によると国内にある売掛金は200兆円を超える。この資産をきちんと評価して銀行の融資判断に活用できれば、新型コロナウイルスで打撃を受けた日本経済の早期回復への後押しになります。

だが、銀行が売掛先企業を審査・管理するコストは大きい。例えば融資を受けたい企業の売掛先が100社ある場合、それらをすべて審査し、融資をしている間は、担保としての価値を保っているか、常に見ておかなければいけません。売掛先から回収できなければ融資先が倒産するリスクもあり、銀行は売掛金を資産として評価した融資を積極的に手掛けて行く必要があります。

取引の仕組み

新しい保険は、この管理コストとリスクの両方を保険会社が引き受ける。銀行は企業の売掛先情報を損保ジャパンに渡し、同社が人工知能(AI)を使って融資可能額を算出する。銀行はこの枠内で融資する。売掛先が代金を払えなくなり、企業が返済できなくなった場合に損保ジャパンは銀行に保険金を払う。

この構図を単純に説明すると企業は商品を販売したい。企業A・B・C・・・はそれを売掛金で購入したい。そうなると販売企業側はその売掛金を回収するための期間の資金の問題と売掛金の回収可能性などを含めて銀行に提案をしたい。ただその手続きを損保ジャパンが代行していくということです。銀行はその手続きの代行を保険料という形で損保ジャパンに支払う。損保ジャパンはAIを駆使してその売掛金の回収の可能性を銀行に報告。その報告に基づいて銀行が融資可能性に基づいた適正な額を企業に融資(実際は利息などの手数料を引いての買取に近い形になる)していくという形になります。この融資可能性が高いとより高い金額で売掛金を回収できることになっているシステムになっています。

銀行はその融資資金をトランザックス電算システムというものを用いて回収します。このシステムに購入をした企業A社・B社・C社などが売掛金相当額を振り込むことで改修をしていくということになります。

この仕組みは損保ジャパンと電子債権を手掛けるトランザックス・収納代行の電算システムの3社で開発した。電子債権により複数の売掛金をまとめて担保にでき、売掛先からの支払いは企業を経ずに銀行に入れていきます。担保としていた売掛金が流用されて融資が焦げ付くリスクを減らすことができます。損保ジャパン・トランザックス・銀行の3者で企業から得られる利息を分け、電算システムは手数料を得る。

融資対象は今後の成長企業

融資の対象は不動産などを担保にできないところでかつ多少の高い金利でも手元資金を確保したいと考えている中小企業がターゲットです。コロナによって売り上げの見通しが立たなくなった企業の救済ではなく、成長軌道に乗った企業の後押しを狙っていきます。5月から全国の銀行や信金に提携の打診を始めていきます。3~5年以内に1000億円の融資を目指していきます。

迅速に融資額を算定できる

損保ジャパンは、取引のある企業200万社の売り上げ・利益・資本関係など10年分のデータをAIに組み込みます。2019年から企業の取引信用保険の引き受けにこのAIを活用して、従来は1日かかっていた保険料の算定が5分程度でできるようになりました。今回はこの技術を応用して早ければ銀行から要請を受けたその日のうちに融資限度額を算出できるようになりました。

出典:日本経済新聞電子版2020年6月23日

関連記事