取引信用保険の補償と保険料について

取引信用保険の補償について

(1)補償対象取引

対象となる取引は、継続的な売買取引契約で発生する売掛債権です。
その他役務取引等の継続取引も対象となりますが、リース契約、賃貸借契約、個人との取引、単発の取引は対象外です。 さらに、子会社、関連会社、官庁、決済期間が1年以上(通常は180日以内)、既に支払い遅延、債務不履行を起こしている売掛債権も対象外です。

(2)補償対象取引先

対象となる取引先は、原則全取引先となり、個別に選別して保険を掛けることは出来ません。
但し、「自社のこの事業部の継続的取引先」、「この商品に関する上位取引先」、「この支店における取引先」等一定のまとまりを持った単位で対象を決めることは可能です。

(3)補償金額

取引信用保険は貸倒金額全額が保証されません
縮小率というものがあり、保険事故の場合、貸倒れ金額、又は与信限度額、どちらか少ない金額に通常85~95%の縮小率を掛けた金額が保険金の支払い限度額となります。
例えば、縮小率90%・与信限度額10百万円・売掛債権12百万円が焦げ付いたとすると、保険金支払額は9百万円(10百万円×90%)となります。

保険契約期間中に発生した債権であれば、貸倒れが契約後に発生しても、保険金は支払われるケースもあります。

(4)補償対象事由

補償支払いは取引先の破産手続き、再生手続き、会社更生法手続開始、特別清算開始の申し立て、手形交換所の取引停止処分等ですが、支払期日から一定期間経過しても債務を履行せず、その取引先には支払い能力がないと保険会社が判断した保険金が支払われるケースもあります。
保険金は取引先の法的倒産の場合、必要書類を提出すれば、概ね1-3か月以内に支払われますが、支払遅延の場合は一定の待機期間を経た後、支払われます。

(5)保険金が支払われないケース

取引信用保険の対象取引は継続的な取引で、スポット的な売買取引で、継続・反復しない取引は対象外となります。
また、保険契約以前に、法的な倒産手続きが既に開始されている取引先や、以前から決済 遅延等の回収見込みのない不払いを起こしている取引先も対象外です。
さらに、被保険者側に故意、または重大な過失や法律違反があり、それによって損害が生じた場合は対象外です。

具体的には内容を偽って保険契約した場合、取引先の不利益情報の通知を怠った場合などが該当いたします。

ご注意いただきたい点は、地震や津波といった大規模災害が原因で損害が発生した場合、保険金は支払われませんが、保険会社によっては保険金を支払うケースもあります。

(6)与信限度額(補償額の上限)の設定、減額、撤回について

取引信用保険の仕組みのところで説明した通り、保険会社は取引先毎に取引先の与信リスクを勘案の上、与信限度額を設定します。これは補償金額の上限になりますので、契約者は与信限度額の範囲内で取引すべきでしょう。

この限度額は取引先の与信状況の悪化により、減額、または撤回される可能性があります。保険会社は取引先の信用状態をモニタリングしているので、取引先に重要な信用状況に関する事由が発生する、または発生が見込まれると、限度額を減額または撤回するのです。契約者はこの保険会社のモニタリング機能に基づき、取引額を減らすか、取引を中止、または現金払いに変更を検討すべきでしょう。

取引先との取引量が増え、現状の与信限度額をオーバーする見込みとなった場合は、保険会社に限度額の増額を依頼することになります。
保険会社は依頼のあった時点で取引先の信用リスクを審査し、問題なければ増額に応じてくれる場合もあります。また新規取引先に対して保険を掛けたい場合も保険会社に新たに申請すれば、信用リスクに見合った与信限度額を設定してもらえる場合もあります。保険会社や契約内容によっては、保険期中の増額や新規取引先の追加に対応できないケースもあるので注意必要です。

取引信用保険の保険料について

取引信用保険の保険料は、社会情勢、対象企業の業界動向、信用状況、契約内容など総合的に勘案し、保険会社がそれぞれに定める料率により決められるためケースバイケースです。
おおよその目安としては、「取引先限度額の合計×保険料率」、または、「保険対象となる取引企業の売上高合計×保険料率」です。

保険料は売上高に料率を掛けて算出する「売上高方式」と限度額に料率を掛けて算出する「限度額方式」があります。
例えば「限度額方式」で料率2.5%の場合、支払限度額合計が2,000百万円だと、2,000百万円×2.5%となり、500万円が年間保険料となります。

 

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