【ワシントン=高見浩輔】米連邦準備理事会(FRB)は28日、ブレイナード副議長が6月24日に実施した講演の抄録を公表した。新型コロナウイルス禍後の高インフレが、世界経済が供給制約に対応する力を失いつつあることを浮き彫りにしたと指摘。「過去数十年と比較して、より不安定なインフレを特徴とする環境へ移行する可能性がある」と警鐘を鳴らした。
国際決済銀行(BIS)の年次総会で講演した。「一時的な供給ショックでも累積的な効果が長く続けば需要と供給のバランスを回復するために金融政策の引き締めが必要になる」と話した。
対応が難しい供給制約として、人口動態、非グローバル化、気候変動の3つを挙げた。米国ではコロナ禍をきっかけとした早期退職の増加で人手不足が続いている。これが一時的ではなく、長期的な変化の始まりかもしれないという見方を紹介した。
ロシアのウクライナ侵攻後のエネルギー・商品市場の混乱はグローバルな供給網のもろさを示したと分析。企業に供給網を見直す動きがあると指摘した。気候変動で自然災害が多発し、深刻になっているとも強調。こうした変化によって「インフレ率の変動が大きくなる時期が訪れる可能性がある」と総括した。
出典:日本経済新聞