5月の米雇用27.8万人増、民間調査 人員削減は2割増 北米

【ワシントン=赤木俊介】米民間雇用サービス会社ADPが1日発表した5月の全米雇用リポートによると、非農業部門の雇用者数(政府部門を除く)は前月から27万8000人増えた。ダウ・ジョーンズ集計の市場予測(18万人)を上回った。米民間調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスの調査では企業などの5月の人員削減計画は前月から20%増えた。業容や業種によって雇用にばらつきが目立ってきた。

米連邦準備理事会(FRB)は13〜14日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、米労働市場の指標に注目している。FRBのジェファーソン理事は5月31日、講演で「(6月の)利上げを見送れば、委員会がより多くのデータを確認できる」と述べた。

全米雇用リポートの報告では、中小規模の事業所やサービス業の雇用が堅調だった。業種別にみると、レジャー・宿泊サービスが20万8000人、天然資源・採掘業が9万4000人それぞれ増やした。一方、製造業、金融サービス、情報サービスなどで雇用が減った。

事業所規模別では従業員1〜49人の小規模事業所が雇用者数を23万5000人増やした。従業員50〜499人の中規模事業所は14万人増加した。半面、従業員500人以上の大企業は雇用者数を10万6000人減らした。

年収の中央値は前年同月比で6.5%上がった。職を変えた人の年収は同12.1%上がった。いずれも前月から伸び率が鈍化した。

ADPのエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は「転職者の年収の伸び率が2カ月連続で1ポイント下がった」と指摘。「年収の上昇率は大きく鈍化し、積極的な採用活動が続いても賃上げ圧力によるインフレ加速を心配する必要はなくなってきた」と分析した。

ADPは米スタンフォード大と協力して雇用者数を分析している。雇用リポートは米労働省の雇用統計の予測ではなく、補完を目的としている。2日発表の5月の雇用統計で、市場は非農業部門の雇用者数が19万人程度増えたと予想している。

チャレンジャー社が1日発表した調査では米企業・政府機関による5月の人員削減計画は前月比20%増の8万89人だった。教育や政府、工業製造、公益事業を除きすべての業界で解雇が増えたと報告した。IT(情報技術)企業は2万2887人、小売りサービスは9053人の人員削減計画を発表した。

23年1〜5月ではメディア業界の削減計画が計1万7436人になった。特にメディアの人員削減が大幅に増え、同期間では最多になるという。放送・デジタル・新聞を含むニュース部門では1〜5月に1972人の人員削減が発表され、22年全体の人員削減(1808人)を上回った。

チャレンジャー社のシニアバイスプレジデント、アンドリュー・チャレンジャー氏は「消費者信頼感は6カ月ぶりの低水準となり、採用も横ばいだ。企業は(米経済の)鈍化を警戒し採用活動を抑え始めている」と説明した。

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