2020年度・上場アパレル会社の8割超が減収に

  1. ニュース

はじめに

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響で2020年度のアパレル業界は百貨店の売上の減少や記録的な暖冬の影響で販売不振が続きました。さらに2020年4月の緊急事態宣言の発出で多くの企業で時短や休業に追い込まれ、そこに国民の外出自粛の影響もあって大きなダメージを受ける結果になりました。秋にはGO・TO・キャンペーンの影響で回復の兆しが出るも、再び感染の拡大が広がって厳しい状況を強いられました。

帝国データバンクでは男子服小売、婦人及び子供服小売、男子服卸売、婦人及び子ども服卸売のいずれかを主業にしているもしくは主たる事業会社が同業種に分類されている上場アパレル業者45社の2020年度の決算短信から連結ベースでの売上高及び営業利益について調査を行いました。

※ただ2021年度は6割超の企業で増収増益を見込んでいます。

調査結果の要旨

1:上場アパレル業者45社のうちで2020年度の売上高で増収になったのは8社(17.8%)で減収が37社(82.2%)。
2:2020年度の営業利益では黒字企業は21社(46.7%)で赤字企業は24社(53.3%)。
3:2021年度の業績見通しは増収増益28社(62.2%)増収減益5社(11.1%)減収増益1社(2.2%)未定が8社(17.8%)。

売上は8割の企業で減収

上場アパレル企業45社の2020年度の決算を見ていくと、2020年5月から12月までに決算を迎えた企業は12社(5月期1社・6月期1社・8月期6社・9月期1社・12月期3社)で、2021年1月から3月に決算を迎えた企業は33社(1月期1社・2月期17社・3月期15社)。7割近い企業が2月と3月に決算を迎えました。

売上高は2020年度の増収企業は8社(17.8%)減収企業は37社(82.2%)。新型コロナウイルスに伴う客足の減少が大きな要因になりました。増収企業も増加幅は20%以上になったところはなく、10%台が2社、10%未満が6社でした。ワーキングウエアや作業着を扱ってワークマン女子で売り込みを図ったワークマン、子供服だけでなくベビー用生活必需品や育児用品を扱った西松屋チェーンが10%以上の増加、その他ファッションマスクが好況だったクロスプラス、衛生用品の受注が伸びたユニフォームネクスト、店舗が郊外立地が多く巣ごもりの客を取り込んだしまむらなどが微増しました。

減収企業では37社のうちで減少幅は10%未満が7社、10%台が8社、20%台が17社、30%以上が5社ありました。三陽商会・ラピーヌ・銀座山形屋・タカキュー・東京ソワールが30%以上の大苦戦組に。スーツやフォーマルウエアなどで特に苦戦が目立ちました。

営業利益も7割が減益

2020年度の営業利益を見ていくと、黒字企業は21社(46.7%)で赤字企業は24社(53.3%)で半数以上が赤字に転落しました。黒字企業21社のうちで増益企業が8社(1社は赤字から黒字に)減益企業が13社となって、全体では7割近い企業が減益になりました。赤字企業24社では黒字から赤字への転落が13社、2期連続での赤字は11社になりました。

増減率を公表している19社のうちで、増加幅が50%以上の企業も4社ありましたが、逆に減少幅が50%以上あった企業が6社ありました。

業績の見通し

上場アパレル45社のうちで21年度の業績の見通しを発表した企業が37社(82.2%)で8社(17.8%)は未定で公表していません。見通しを公表した企業の中には増収増益の会社が28社、増収減益の会社が5社、減収減益の会社が1社となっています。

まとめ

上場アパレル45社のうちで2020年度決算は8割の企業が減収という結果になりました。原因は新型コロナウイルスの影響に2020年4月の緊急事態宣言が追い打ちをかけました。春の連休期間で百貨店の休業や営業時間の短縮などがなされて売上が大きく減少しました。超大手のレナウンが5月15日に民事再生手続き開始決定を受けるなどの大型倒産も発生しています。宣言の回復後は少し持ち直すも秋以降は感染の拡大で秋冬戦の山場の1月に再び緊急事態宣言が発出。全体を通しての販売機会が大きく減少しています。一方多くの企業がEC販売で前期比よりも増やしましたが、リアル店舗の大幅な減少をカバーするには至らず、在庫処分のセール販売でも各社が苦戦をするくらいになってしまいました。

またコロナ渦においてのライフスタイルも変化しました。もともと縮小傾向のスーツフォーマル市場は在宅勤務の推進や冠婚葬祭の中止などでさらに需要が減少に。一方でゴルフ人気のアスレジャーなどでのストリートブランドが好調になる面や巣ごもり需要にホームウエアのほかに一部でカジュアルウエアの需要にも回復の兆しが見えています。感染者数の下げ止まりが見られるなどの不安要素があるものの、今後はワクチン接種の広がりで最近は集客面での落ち着きが期待されて各社の方針が注目されます。

参考資料・出典:
帝国データバンク:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p210609.pdf

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