9月12日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が7件判明、全国で累計4,029件(倒産3,882件、弁護士一任・準備中147件)となった。
2021年の年間件数は1,718件に達し、2020年の843件に比べて2倍に増加。2022年も8月までに19カ月連続で100件超えを記録したほか、前年同期比3割増の累計1,400件(前年同期比33.2%増)に達した。9月も12日時点で68件が判明し、高水準が続いている。
倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計210件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で4,239件に達した。
国内の企業数(358万9,333社、2016年総務省「経済センサス」)を基にした比率では、コロナ破たん率は0.118%で1,000社に1社が破たんした計算となる。都道府県別で最も比率が高いのは東京都の0.212%で唯一の0.2%台、一方最低は宮崎県の0.040%で、地域間での格差がみられる。
コロナ関連融資は、返済開始が本格化する時期に差し掛かってきた。だが、コロナ禍以前の水準にまで業績が回復せず、円安進行による資材高や物価高などの事業環境の悪化も重なり、返済原資を捻出できないケースが増加している。
過剰債務に陥った企業の息切れや脱落により、コロナ破たんは引き続き増勢をたどる可能性が高まっている。
【都道府県別】【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 100件以上は10都道府県に ~
都道府県別では、東京都が845件と全体の2割強(構成比20.9%)を占め、突出している。以下、大阪府404件、愛知県204件、福岡県193件、神奈川県187件、兵庫県171件、北海道157件、埼玉県145件、静岡県108件、千葉県105件と続く。
12日は東京都で4件、山梨県と新潟県、福岡県でそれぞれ1件判明した。10件未満は鳥取県のみの1県、10~20件未満が3県、20~50件未満が23県、50件以上100件未満が10府県、100件以上は10都道府県に広がっている。
【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食が最多 建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~
次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が458件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の300件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が177件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が149件と、上位を占めている。
【負債額別】(負債1,000万円以上)
負債額が判明した3,994件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の1,465件(構成比36.6%)、次いで1億円以上5億円未満が1,301件(同32.5%)、5千万円以上1億円未満が773件(同19.3%)、5億円以上10億円未満が228件(同5.7%)、10億円以上が227件(同5.6%)の順。
負債1億円未満が2,238件(同56.0%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも11件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。
【形態別】(負債1,000万円以上)
「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した3,882件の形態別では、破産が3,484件(構成比89.7%)で最多。次いで民事再生法が159件(同4.0%)、取引停止処分が143件(同3.6%)、特別清算が78件、内整理が14件、会社更生法が4件と続く。
「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。
【従業員数別】(負債1,000万円以上)
「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した3,868件の従業員数の合計は3万9,169人にのぼった。
3,868件の内訳では従業員5人未満が2,181件(構成比56.3%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が759件(同19.6%)、10人以上20人未満が491件(同12.6%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、下半期(7-12月)で15件。2022年は上半期で24件に増加し、7月以降もすでに20件発生している。
※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。
(負債1,000万円未満含む)
(都道府県別のコロナ破たん率)