コロナ破たん 4月は過去2番目の件数 累計6,233件に

4月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が271件判明、全国で累計5,936件(倒産5,728件、弁護士一任・準備中208件)となった。

件数は2022年に入って増勢を強め、9月以降は200件台が続き、2022年は前年(1,718件)から3割増の2,282件にのぼった。
2023年に入っても1月は245件、2月も249件と増え続け、3月はこれまでの最多を大幅に更新する328件。4月はこれに次ぐ271件となった。
倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計297件判明した。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で6,233件に達した。
国内の企業数(358万9,333社、2016年総務省「経済センサス」)を基にした比率では、コロナ破たん率は0.173%で1,000社に1社が破たんした計算となる。都道府県別で最も比率が高いのは東京都の0.306%、次いで宮城県の0.247%、福岡県の0.238%、大阪府の0.226%、富山県の0.213%。一方、最低は高知県の0.075%で、地域によってばらつきもみられる。
新型コロナは5月8日、「5類」への引き下げを控え、本格的なアフターコロナの時期に差し掛かっている。一方で企業はコロナ関連融資の返済や運転資金の需要への対応、資材高や人手不足など様々な課題に直面し、事業性があらためて問われている。コロナ禍で疲弊し、体力を消耗した企業の脱落やあきらめ型を中心に、コロナ破たんは当面、高水準で推移する可能性が高い。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 100件以上は16都道府県に ~

都道府県別では、東京都が1,213件と全体の2割強(構成比20.4%)を占め、突出している。以下、大阪府592件、愛知県301件、福岡県299件、神奈川県259件、兵庫県251件、北海道231件、埼玉県201件と続く。
200件以上が8都道府県、100件~200件未満が8府県に広がっている。一方、10件未満はゼロ、10件~20件が2県で、最少は鳥取県の16件。

【業種別】(負債1,000万円以上)~最多は飲食業の943件、建設業、アパレル関連が続く~

業種別では、コロナ禍での来店客の減少に加え、食材や光熱費高騰の負担も重い飲食業が最多で943件に及ぶ。行動様式の変化で客足が戻らず、経営体力の消耗やあきらめにより、飲食業の新型コロナ破たんはさらに増加する可能性が高まっている。
次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が694件に達した。小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の442件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が252件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が188件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

負債額が判明した5,873件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の2,245件(構成比38.2%)、次いで1億円以上5億円未満が1,863件(同31.7%)、5千万円以上1億円未満が1,175件(同20.0%)、5億円以上10億円未満が301件(同5.1%)、10億円以上が289件(同4.9%)の順。
負債1億円未満が3,420件(同58.2%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも17件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した5,728件の形態別では、破産が5,165件(構成比90.1%)で最多。次いで取引停止処分が204件(同3.5%)、民事再生法が196件(同3.4%)、特別清算が136件、内整理が21件、会社更生法が6件と続く。
「新型コロナ」関連倒産の9割超を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した5,712件の従業員数の合計は5万3,037人にのぼった。平均すると1社あたり約9人となる。
5,712件の内訳では従業員5人未満が3,358件(構成比58.7%)と、約6割を占めた。次いで、5人以上10人未満が1,074件(同18.8%)、10人以上20人未満が696件(同12.1%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、下半期(7-12月)で15件。2022年は上半期で24件に増加し、下半期も31件判明。2023年は現時点で21件判明している。

出典:東京商工リサーチ

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