2023年1月の全国企業倒産570件
1月の倒産 10カ月連続で前年同月を上回る、負債は約50年ぶりの低水準
2023年1月の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が570件(前年同月比26.1%増)、負債総額は565億2,400万円(同15.5%減)だった。
件数は、2022年4月から10カ月連続で前年同月を上回り、増加率は2022年12月(前年同月比20.2%増)、2023年1月(同26.1%増)と増勢を強めている。1月としては、コロナ前の2020年(773件)以来、3年ぶりに前年同月を上回った。
負債総額は、2カ月連続で前年同月を下回った。1月としては4年連続で前年同月を下回り、1973年(245億3,400万円)以来、約50年ぶりの低水準。平均負債額は9,900万円で、1973年(5,400万円)以来の1億円割れとなった。負債1億円未満が435件と7割超(構成比76.3%)を占め、負債額の最高が不動産賃貸の花澤綜合企画(株)(千葉・破産)の21億8,600万円にとどまった。ただ、負債1億円以上5億円未満が113件(前年同月83件)、同5億円以上10億円未満が14件(同13件)と増加し、中堅規模にも倒産が広がっている。
2023年1月の「新型コロナウイルス」関連倒産は、234件(前年同月比93.3%増)と前年同月から約2倍と大幅に増え、5カ月連続の200件台。2020年2月からの累計は5,000件。
- 「人手不足」関連倒産のうち、「後継者難」が36件(前年同月32件)
- 形態別件数:破産が506件。法的倒産の構成比は95.4%
- 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが31都道府県、減少11県、同数5県
- 負債別件数:負債1億円未満の構成比76.3%、100億円以上が9カ月ぶりに発生せず
- 業種別件数:飲食料品製造業・販売業、飲食業などが増加
- 従業員数別件数:10人未満の構成比が88.5%、300人以上は2カ月ぶりに発生せず
- 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は4カ月連続で100.0%
産業別 10産業のうち、8産業で前年同月を上回る
2023年1月の産業別件数は、卸売業と金融・保険業を除く8産業で前年同月を上回った。
最多はサービス業他の182件(前年同月比29.0%増)で、5カ月連続で前年同月を上回った。月次倒産に占める構成比は31.9%(前年同月31.1%)だった。
このほか、製造業が74件(前年同月比76.1%増)で6カ月連続、運輸業27件(同8.0%増)と情報通信業23件(同35.2%増)が4カ月連続、不動産業が25件(同13.6%増)で3カ月連続、小売業が76件(同40.7%増)で2カ月連続、建設業が103件(同21.1%増)で2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
増加率が最も大きい製造業では、食料品製造業(4→12件)、繊維工業(4→8件)、印刷・同関連業(6→10件)などで前年同月を上回った。
一方、卸売業は54件(前年同月比11.4%減)で、6カ月ぶりに前年同月を下回った。金融・保険業は前年同月と同件数の2件だった。
地区別 倒産件数、東北を除く8地区で増加
2023年1月の地区別件数は、9地区のうち東北を除く8地区で前年同月を上回った。
関東200件(前年同月比1.5%増)が、9カ月連続で前年同月を上回った。このほか、九州41件(同5.1%増)が7カ月連続、四国14件(同250.0%増)が4カ月連続、北陸10件(同42.8%増)が3カ月連続、北海道14件(同75.0%増)と中部90件(同125.0%増)、近畿153件(同35.3%増)が2カ月連続、中国26件(同85.7%増)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
一方、東北は22件(同26.6%減)で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
- 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
- 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
- 北陸(富山、石川、福井)
- 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
- 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
- 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
- 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
- 花澤綜合企画(株)/千葉県/不動産賃貸/21億8,600万円/破産
- 冨士印刷(株)/東京都/総合印刷業/17億円/取引停止処分
- 道玄坂管理(株)/東京都/婦人服販売/15億円/特別清算
- (株)FRT企画/福岡県/洋菓子・和菓子製造販売/15億円/特別清算
- ダイマル食品(株)/千葉県/はんぺん製造/14億8,900万円/民事再生法
出典:東京商工リサーチ