1ドル=143円 企業の半数以上が「マイナス」 食材の輸入コスト上昇で飲食店の影響が拡大  ~ 2022年10月 「円安に関するアンケート」調査 ~

  1. 倒産情報

10月14日の為替相場は一時、1ドル=148円台後半まで下落し、32年ぶりの円安水準となった。9月22日、日銀による為替介入で1ドル=140円台まで戻す場面もあったが、その後は再び円安が加速している。
 10月15日にバイデン米大統領が実質的にドル高を容認する発言をするなど、過度の円安是正の見通しは立っていない。

東京商工リサーチ(TSR)が10月3日~12日に実施したアンケート調査で、9月の1ドル=143円前後の円安局面で、経営に「マイナス」と回答した企業は54.1%と半数を超えた。前回調査(8月、1ドル=137円前後)の48.7%から5.4ポイント悪化した。
規模別では、「マイナス」は中小企業で54.7%を占め、大企業でも5割(50.2%)を超えた。前回調査から中小企業は4.9ポイント、大企業は7.6ポイント上昇し、大企業の悪化が目立った。
業種別でみると、「マイナス」の影響が強い上位10業種では「飲食店」(85.1%)、「食料品製造業」(80.8%)、「飲食料品卸売業」(70.6%)と、食品関連が多い。ウクライナ情勢に加え、加速する円安で食材の輸入価格が上昇し、コストアップが一段と深刻化している。
一方、前年より輸出量を「増加(予定含む)」と回答した輸出企業は約4割(38.0%)で、前回調査の29.5%から8.5ポイント上昇し、円安の恩恵を受ける企業と苦境に陥った企業の差も広がりつつある。

  • ※本調査は、2022年10月3日~12日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答5, 019社を集計、分析した。
    資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
    前回調査は、2022年8月24日発表。

Q1.今年9月(1ドル=143円前後)の為替水準は貴社の経営にとってプラスですか?マイナスですか?(択一回答)

円安が経営に「マイナス」の企業が半数超

 1ドル=143円前後の円安が経営に及ぼす影響について、「マイナス」と回答した企業は54.1%(5,019社中、2,718社)だった。前回調査(8月、1ドル=137円)の48.7%と比べ5.4ポイント悪化した。1ドル=130円前後だった6月調査(46.7%)からは7.4ポイントの悪化で、円安の進行に伴い、企業への「マイナス」影響が深刻さを増している。
一方、「プラス」は2.5%(127社、前回調査3.2%)、「影響はない」は23.4%(1,179社、同28.8%)だった。
規模別では、「マイナス」は大企業が50.2%(663社中、333社)に対し、中小企業は54.7%(4,356社中、2,385社)で、中小企業が4.5ポイント上回った。
前回調査からは、それぞれ7.6ポイント、4.9ポイントずつ「マイナス」影響の割合が上昇した。

円安アンケート

業種別 「飲食店」「繊維・衣服等卸売業」「食料品製造業」の8割で円安が「マイナス」

 Q1で「プラス」、「マイナス」と回答した企業をそれぞれ業種別(業種中分類、回答母数20以上)で分析した。
「プラス」と回答した業種トップは「ゴム製品製造業」の12.9%(31社中、4社)だった。
以下、「業務用機械器具製造業」12.0%(50社中、6社)、「電子部品・デバイス・電子回路製造業」10.5%(57社中、6社)と続く。
上位10業種中8業種を製造業が占め、輸出産業で「プラス」もあったが、原材料の輸入価格上昇などの影響もあり、「プラス」の構成比が1割を超えたのは上位3業種のみだった。
一方、「マイナス」と回答した業種トップは「飲食店」の85.1%(27社中、23社)で、前回調査の81.8%から3.3ポイント上昇した。
次いで、「繊維・衣服等卸売業」83.3%(54社中、45社)、「食料品製造業」80.8%(167社中、135社)の順。ワースト3業種で「マイナス」が8割を超えた。
また、上位10業種中、食品に関連した業種が3業種を占めた。円安による製品や原材料の仕入コスト上昇で利益が圧迫され、企業業績にも深刻な影響が広がっている。

円安アンケート

Q2. 貴社にとって望ましい円相場は1ドルいくらですか?(択一回答)

希望レート「110円以上125円未満」が7割

 望ましい円相場について、2,663社から回答を得た。最多レンジは、「110円以上115円未満」の27.3%(727社)だった。同レンジが前回調査(29.9%)に引き続き最多だったが、2.6ポイント低下した。次いで、「120円以上125円未満」25.5%(681社)、「115円以上120円未満」19.7%(526社)の順。希望レートが「110円以上125円未満」のレンジの企業が72.6%(前回調査75.1%)を占めた。
一方、希望レートを「130円以上」と回答した企業は8.1%(217社)で、前回調査の3.9%から4.2ポイント上昇した。円安が定着し、希望レートを130円以上に設定する企業も増え始めたが、「1ドル=140円以上」と回答した企業は1.9%(53社)にとどまり、企業の対応を上回るペースで円安が進行している。
最頻値は全企業が110円、大企業が120円、中小企業が110円だった。

Q3.今年に入ってからの為替変動の影響について伺います。貴社は、商品や部材の輸出量を昨年より変化させましたか?(択一回答)

輸出量「増加」、輸出企業の約4割に上昇

 輸出を手掛ける945社から回答を得た。  「増加させた」は15.9%(151社)、「現時点で変化ないが、今後増加させる」は22.1%(209社)で、合計38.0%が輸出量の「増加」に言及した。前回調査の29.5%から8.5ポイントの大幅上昇となった。
輸出量「増加」の業種別(中分類、母数5以上)では、「飲料・たばこ・飼料製造業」が100.0%(10社中、10社)で最多だった。
上位10業種のうち、製造業は5業種、卸売業は3業種だった。

円安アンケート

Q4.今年に入ってからの為替変動の影響について伺います。貴社は、商品や部材の輸入量を昨年より変化させましたか?(択一回答)

輸入量「減少」は2割台を維持

 輸入を手掛ける1,548社から回答を得た。  「減少させた」は13.6%(211社)、「現時点で変化ないが、今後減少させる」は10.5%(164社)で、合計24.2%が輸入量の「減少」に言及した。前回調査の22.5%からは1.7ポイントの上昇にとどまった。代替先確保の難しさなどから、コストアップでも輸入量を減らせない企業が少なくない。
輸入量「減少」の業種別(中分類、母数5以上)は、「不動産賃貸業・管理業」の80.0%(5社中、4社)が最多だった。

円安アンケート

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