3月以来の急速な円安は米国10年利回りと強く連動
「円安はどこまで進むのか?」という問いに明確な答えはない。為替の予測は非常に難しいからだ。ただしそうした点を踏まえても、3月以降の急速な円安局面は、既に終盤戦に入ってきているのではないか、と筆者は考えている。
為替の予測が難しいのは、為替を動かす主な要因が常に入れ替わることだ。内外の物価見通し、短期金利差、長期金利差、経常収支、対外資産・負債バランス、市場のリスク許容度の変化、地政学リスクなど様々である。
これらが為替の主たる変動要因だとしても、それぞれの影響度合いは常に変化しており、どの要因が為替の動きに大きな影響を与えたのかは、後付けで説明できるだけだ。
3月以降の急速な円安は、米連邦準備制度理事会(FRB)の急激な金融引き締め(観測)によってもたらされたことは疑いがない。ウクライナ問題の発生など地政学リスクの高まりは、リスク回避通貨の円買いを招いてもおかしくないところであるが、実際にそうならなかったのは、日米金利差拡大(観測)の影響ががそれに勝っていたためだろう。
日米金利差の変化(観測)は、しばしばドル円レートを動かす大きな要因となってきた。しかし、どのゾーンの金利差が大きな影響を及ぼすのかは、常に変化する。近年は短期金利差よりも長期金利差の方が、ドル円レートへの影響力が大きかった印象である。