5月25日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が7件判明、全国で累計3,321件(倒産3,174件、弁護士一任・準備中147件)となった。
2021年の年間件数は1,718件に達し、2020年の843件に比べて2倍に増加した。2022年に入っても毎月100件以上のハイペースが続き、4月までの累計は646件(前年同期比27.1%増)に達している。5月も25日時点で114件が判明し、16カ月連続で100件を上回った。
倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計168件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で3,489件に達した。
感染者数が一進一退をみせるなか、東京都では5月22日でリバウンド警戒期間が終了。全国的にも繁華街などは人出の戻りが顕著となっている。入国者制限の緩和も控え、消費回復の期待も膨らんでいる。一方で経済活動が活発化すれば、運転資金の確保も経営課題に浮上するほか、アフターコロナへの対応に伴う資金需要が発生する。
金融機関によるリスケ対応など、柔軟な姿勢に変化はなく、政府主導の「中小企業活性化パッケージ」の関連施策も本格化する見込みで、企業支援策は引き続き拡充されている。
ただし、業績不振の長期化で過剰債務に陥った企業は増加している。息切れやあきらめによる脱落に資金難も加わり、コロナ破たんは当面、高水準で推移する可能性が高い。
【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 100件以上は8都道府県 ~
都道府県別では、東京都が691件に達し、全体の2割強(構成比20.8%)を占め、突出している。以下、大阪府337件、福岡県166件、愛知県161件、兵庫県148件、神奈川県144件、北海道127件、埼玉県119件と続く。
25日は、東京都や大阪府、宮城県など7府県で各1件判明した。10件未満は1県、10~20件未満が7県、20~50件未満が23県、50件以上100件未満が8府県、100件以上は8都道府県に広がっている。
【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食が最多の550件、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~
業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で550件に及ぶ。営業制限が続いた地域を中心に、経営体力の消耗やあきらめによる飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性も強まっている。
次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が362件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の256件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が147件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が130件と、上位を占めている。
【負債額別】(負債1,000万円以上)
負債額が判明した3,282件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の1,232件(構成比37.5%)、次いで1億円以上5億円未満が1,054件(同32.1%)、5千万円以上1億円未満が624件(同19.0%)、5億円以上10億円未満が193件(同5.8%)、10億円以上が179件(同5.4%)の順。
負債1億円未満が1,856件(同56.5%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも8件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。
【形態別】(負債1,000万円以上)
「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した3,174件の形態別では、破産が2,824件(構成比88.9%)で最多。次いで取引停止処分が132件(同4.15%)、民事再生法が131件(同4.12%)、特別清算が69件、内整理が14件、会社更生法が4件と続く。
「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。
【従業員数別】(負債1,000万円以上)
「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した3,163件の従業員数の合計は3万1,324人にのぼった。
3,163件の内訳では従業員5人未満が1,789件(構成比56.5%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が621件(同19.6%)、10人以上20人未満が401件(同12.6%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、下半期(7-12月)で15件。2022年は15件発生している。
※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。
出典:東京商工リサーチ