京都の老舗佃煮製造業者
続報、新型コロナウイルス関連倒産
再生手続き廃止決定受ける
TDB企業コード:500116940
「京都」 既報、宇治管理(株)〈旧:(株)野村佃煮、資本金4300万円、京都府宇治市大久保町田原24、代表野村啓介氏ほか1名〉は、5月7日に再生手続き廃止決定および保全管理命令を受けた。今後、破産手続きへ移行する見込み。
保全管理人には監督委員であった日高章弁護士(黒潮総合法律事務所、東京都千代田区神田多町2-7-3三好ビル6階、電話03-3251-7090)が選任されている。
当社は、1931年(昭和6年)3月創業、52年(昭和27年)5月に法人改組された総菜製造業者。京都の老舗業者として知られ、百貨店や食品スーパー、食品商社、通販業者、外食産業などを販路として確保し、各種総菜および佃煮などギフト類のほか、おせち料理の製造・販売を手がけていた。佃煮は「味の都路」「京のあじわい」「京のにぎわい」などのブランド名で、主に贈答用となるちりめん山椒や山椒昆布など約500種類の商品を製造、自社小売店での販売も強化し、2012年3月期の年売上高は約50億5100万円を計上していた。
しかし、主な販路であった百貨店における集客力が年々低下し売り上げは漸減。京都府中小企業活性化協議会の支援のもと、金融機関から借入金返済猶予措置を受けるなどして経営再建に努めていたなか、新型コロナウイルス感染拡大以降は観光および贈答品需要が急減していた。巣ごもり需要の高まりから百貨店からのおせち料理受注が増加し一時は売り上げが回復していたものの、総菜は煮物が中心で人手が必要な生産体制であったため人件費負担が重く、各種食材価格やエネルギー価格の高騰から連続赤字を計上。業績改善の見通しが立たないことから、2023年には総菜部門のリストラを断行するなど抜本的な改善に取り組んでいたが、事業縮小に伴う売り上げ減少に加え借入金負担などから、収益性改善の見通しが立たず自主再建を断念。2024年2月13日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請。同月16日に再生手続き開始決定を受けていた。
負債は現在調査中。
なお、当社は3月13日にスポンサーであるブンセン(株)(TDB企業コード:540091694、兵庫県たつの市)と事業譲渡契約を締結し、(株)野村佃煮(524067377、2024年3月15日設立)へ事業を移管、(株)野村佃煮が事業を継続している。
出典:帝国データバンク