不動産賃貸業(株)徳増興産2022/11/8、福岡地裁小倉支部より破産開始決定

~北九州地区有数の不動産賃貸業者~

 (株)徳増興産(北九州市戸畑区新池1-11-24、設立1967(昭和42)年7月、資本金4500万円、德増雄三社長)は11月8日、福岡地裁小倉支部より破産開始決定を受けた。破産管財人には小倉知子弁護士(ナリッジ共同法律事務所、同市小倉北区鍛冶町1-2-16、電話093-531-3515)が選任された。
負債総額は約45億円。
※TSR企業コード:880260203、法人番号:5290801002491

 プロパンガス販売を目的に設立し、一般顧客へ販売する一方で、賃貸マンションを建設して資産形成を進めてきた。1989年4月、不動産業へ特化すると同時に、プロパンガス販売事業を関連の(有)徳増商会(TSR企業コード:880420820、法人番号:3290802004456、北九州市小倉南区)に移管した。
賃貸事業では、利便性の高いエリアでファミリーマンションを展開し、2003年以降は投資を加速するなか、大手のフランチャイズに加盟して不動産仲介も手掛けていた。また、賃貸マンションの一角で公衆浴場「華の湯」や飲食店の「せせらぎダイニング」、インターネットカフェ、美容室など、グループでの多角経営を手掛け、2008年2月には25階建・129戸の賃貸タワーマンション「トーマスタワー」を完成。地区有数の不動産賃貸会社として存在感を示し、2008年8月期は13億1524万円の売上高を計上した。
しかし、継続的な開発に加え、2009年8月期には投資計画が中止となった福岡市中央区今泉の土地を12億5000万円で取得したことにより、同期末の有利子負債は91億4300万円に拡大。また、同期中には総額28億円を投じて大型の賃貸マンションを完成させたが、投資ファンドに売却する計画が頓挫して資金繰りが急速に悪化し、これまでの過大投資による歪みが表面化した。
このため、2010年8月期には主力行が中心となってDDS(デット・デット・スワップ)による事業再生を選択。経営責任を取る形で德増雄三社長が辞任する一方、主力行の出向者を専務取締役として招聘して再建を進めてきた。
以降は対外信用の低下等で新規の開発が困難となるなか、金融支援を仰ぎながら保有物件の売却を進めてきたが、賃貸収入の減少により採算性が悪化。2012年8月期は大型物件の売却で売上高を31億8377万円に大きく伸ばしたが、簿価を下回る売却を余儀なくされて約12億円の赤字を計上した。
2015年10月、德増氏が代表取締役社長に復帰したが、その後の売上高は3~5億円にとどまり、赤字を散発。2021年8月期は特別利益により10億円の黒字となったが、資金繰りは好転せず2022年4月、トーマスタワーに金融機関が、同年9月には自治体がそれぞれ差押登記を設定するなど、資金繰りの悪化が露呈。債務弁済のめどが立たなくなり、今回の措置となった。

出典:東京商工リサーチ

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