コロナ破たん、2021年度は前年度比1.6倍増の1938件 【2022年3月31日 現在】

2021年度(2021年4月‐2022年3月)の新型コロナウイルス関連破たんは1,846件で、2020年度(1,173件)から約1.6倍増(57.3%増)となった。(※2019年度は2020年2月と3月の24件)
 2021年度は、4月以降100件超えが続き、特に9月以降12月まで4カ月連続で最多を更新した。さらに2022年3月は初めて月間200件を上回り、これまでの最多件数となる216件に達した。
 なお、倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは2021年度は1,938件(前年度比57.4%増、2020年度1,231件、2019年度25件)で、これまでの累計件数は3,194件に達した。
 感染者数の一進一退が続くが「まん延防止等重点措置」は全地域で解除され、飲食業をはじめとするサービス業や消費関連産業の期待が膨らんでいる。ただ、経済活動が活発化すれば、運転資金の確保も経営課題となるほか、アフターコロナを見据えての様々な変化に対応する必要にも迫られる。
 業績不振の長期化で過剰債務に陥った企業は増加している。こうしたなか、息切れやあきらめによる脱落に加え、経済活発化に伴う資金難の増加も懸念され、コロナ破たんは2022年度も引き続き増勢が続く見通しとなっている。

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 累計100件以上は8都道府県に広がる ~

 累計の都道府県別では、東京都が654件(2021年度367件)に達し、全体の2割強(構成比21.4%)を占め、突出している。以下、大阪府308件(同191件)、福岡県146件(同101件)、愛知県138件(同85件)、兵庫県137件(同91件)、神奈川県135件(同77件)、北海道113件(同59件)、埼玉県108件(同70件)と続く。
 一方10件未満は鳥取県7件(同4件)のみで、10~20件未満が11県、20~50件未満が19県、50件以上100件未満が8府県、100件以上は8都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食が最多の511件、2021年度は1.5倍増 ~

 累計の業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で511件に及ぶ。飲食業の2021年度は303件(2020年度205件)と、前年度から1.5倍増となった。1年を通して営業制限が続いた地域も多く、経営体力の消耗やあきらめ型が増加した。急速な来客数の回復が難しい状況で、協力金などの補助が減少すれば、さらに増加する可能性は高い。  次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が329件。2021年度は前年度比2倍増の224件(2020年度105件)だった。以下、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)は累計242件、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が同134件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が119件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した累計2,999件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の1,129件(構成比37.6%)、次いで1億円以上5億円未満が969件(同32.3%)、5千万円以上1億円未満が563件(同18.7%)、5億円以上10億円未満が175件(同5.8%)、10億円以上が163件(同5.4%)の順。
 負債1億円未満が1,692件(同56.4%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも8件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した累計2,897件の形態別では、破産が2,574件(構成比88.8%)で最多。次いで民事再生法が125件(同4.3%)、取引停止処分が121件(同4.1%)、特別清算が60件、内整理が14件、会社更生法が3件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した累計2,888件の従業員数の合計は2万8,832人にのぼった。
 2,888件の内訳では従業員5人未満が1,645件(構成比56.9%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が559件(同19.3%)、10人以上20人未満が361件(同12.5%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50人以上の破たんは2021年度は29件(2020年度51件、43.1%減)で、規模の小型化の傾向が強まった。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

0401以上

‌               (負債1,000万円以上)                  

0401未満

‌               (負債1,000万円未満を含む)         

出典:東京商工リサーチ

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