全国企業倒産状況 2022年度(令和4年度)の全国企業倒産6,880件

2022年度の倒産

2022年度の倒産件数は低水準ながら3年ぶりに増加、コロナ関連倒産は1.4倍増

 2022年度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が6,880件(前年度比15.0%増)、負債総額は2兆3,243億7,900万円(同99.0%増)だった。
件数は、コロナ禍の資金繰り支援策で記録的な低水準を続けてきたが、2022年度は4月から増勢に転じ、3年ぶりに前年度を上回った。
負債総額は、5年ぶりに前年度を上回った。金融機関から事業再生ADR手続の同意を得られず、簡易再生手続き(民事再生法)を申請したマレリホールディングス(株)(埼玉、負債1兆1,330億円)が負債全体のほぼ半分(構成比48.7%)を占めた。また、負債1億円以上5億円未満が1,466件(前年度比27.1%増)、同5億円以上10億円未満が234件(同23.1%増)と、中堅規模の倒産も目立った。ただ、同1億円未満が5,007件(前年度4,466件)と全体の72.7%を占め、依然として小・零細規模の倒産を中心に推移している。
2022年度の「新型コロナウイルス」関連倒産は、2,602件(前年度比46.4%増、構成比37.8%)で、前年度(1,777件)の1.4倍に増加した。
産業別は、2008年度以来、14年ぶりに10産業すべて前年度を上回った。記録的な物価高を背景に、高止まりする燃料代や人手不足が深刻な運輸業が351件(前年度比43.8%増)と大幅に増加。また、円安などで資材価格が高騰した製造業も802件(同24.1%増)と1.2倍に増えた。

企業倒産4-3月推移

  • 上場企業倒産:東証スタンダード上場のテラ(株)(東京、8月破産)が1件発生
  • 「人手不足」関連倒産は、「従業員退職」33件、「求人難」29件、 「人件費高騰」17件
  • 形態別:法的倒産が6,669件で構成比は96.9%
  • 都道府県別件数:前年度より増加が39都道府県、減少が8県
  • 従業員数別:10人未満の構成比が87.4%
  • 原因別件数:『不況型』倒産の構成比が82.7%、14年連続で80%台
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)の構成比は99.94%

産業別 倒産件数、14年ぶりに10産業すべてで前年度を上回る

   2022年度の産業別件数は、2008年度以来、14年ぶりに10産業すべてで前年度を上回った。
最多はサービス業他の2,245件(前年度比13.8%増)で、3年ぶりに前年度を上回り、2年ぶりに2,000件台に乗せた。
燃料価格の高止まりや人手不足などの影響を受けた運輸業が351件(同43.8%増)で、2年連続で前年度を上回り、7年ぶりに300件台になった。
また、飼料価格の高騰などが影響した農・林・漁・鉱業が91件(同51.6%増)で、3年ぶりに前年度を上回った。
このほか、建設業1,274件(同15.2%増)と製造業802件(同24.1%増)、卸売業825件(同2.7%増)、小売業764件(同7.9%増)が3年ぶりに、それぞれ前年度を上回った。また、金融・保険業26件(同44.4%増)と不動産業244件(同15.6%増)が2年ぶり、情報通信業258件(同21.1%増)が4年ぶりに、それぞれ前年度を上回った。

2022年度4-3月の産業別倒産

産業別倒産4-3月推移

地区別倒産件数、北陸と四国を除く7地区で前年度を上回る

   2022年度の地区別件数は、北陸と四国を除く7地区で前年度を上回った。
北海道214件(前年度比48.6%増)が、6年ぶりに前年度を上回った。このほか、中部915件(同25.3%増)が5年ぶり、東北332件(同15.6%増)と関東2,583件(同14.2%増)、近畿1,734件(同11.2%増)、中国280件(同19.6%増)、九州562件(同16.3%増)が3年ぶりに、それぞれ前年度を上回った。
増加率が最も大きい北海道は、サービス業他66件(同40.4%増)、建設業33件(同106.2%増)、製造業28件(同55.5%増)など、7産業で前年度を上回った。また、中部では、サービス業他284件(同19.3%増)、建設業180件(同10.4%増)、製造業160件(同56.8%増)など、8産業で前年度を上回った。
一方、北陸145件(同7.0%減)と四国115件(同9.4%減)が、それぞれ3年連続で前年度を下回った。

2022年度4-3月の都道府県別倒産

※地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当年度の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. マレリホールディングス(株)/埼玉県/純粋持株会社/1兆1,330億円/民事再生法
  2. (株)JOLED/東京都/有機ELディスプレイパネル製造開発ほか/337億4,100万円/民事再生法
  3. 神明畜産(株)/東京都/畜産業/294億5,600万円/民事再生法
  4. (株)肉の神明/東京都/食肉卸、小売/208億400万円/民事再生法
  5. (株)SH東雲堂/広島県/書籍販売ほか/193億100万円/特別清算

出典:東京商工リサーチ

\不払いのリスク回避の事前対策を/

売掛金の損失リスクの回避の対策をしていますか?

取引信用保険の活用事例を無料プレゼント >>

 

関連記事