【ベルリン=南毅郎】ドイツのIfo経済研究所が25日発表した7月の企業景況感指数は88.6と前月から3.6ポイント低下した。新型コロナウイルス禍で経済活動が停滞していた2020年6月以来、2年1カ月ぶりの低水準だ。ロシアのウクライナ侵攻に伴う供給不安でエネルギー価格が高騰し、景気後退の懸念が一段と強まっている。
業種別の業況指数では、製造業がマイナス7.1と前月のゼロから大幅に落ち込んだ。サービス業も厳しく、プラス0.9と前月から10ポイント急低下した。ドイツでは消費者物価の伸び率が8%程度と、歴史的なインフレが企業活動や個人消費の逆風になっている。
先行き6カ月後の見通しを示す期待指数は80.3と同5.2ポイント低下し、20年4月以来の低水準だった。ロシアからの輸入に頼る天然ガスの調達不安が根強いなか、冬場にかけてガス貯蔵が不足すれば工場の操業停止などを通じて景気後退に陥りかねない。
Ifo経済研究所のクレメンス・フュースト所長は「高水準のエネルギー価格とガス不足の恐れが重荷になり、ドイツは景気後退の瀬戸際にある」と指摘した。
出典:日本経済新聞