中国製造業に「コロナショック再来」の深刻度

「財新中国製造業PMI」、2カ月連続で50割り込む

4月の財新中国製造業PMIは前月より2.1ポイント低下し、2020年3月以降の最低値を更新した(図表作成:財新)

中国の製造業の景況感が急速に悪化している。国内各地で新型コロナウイルスが再流行し、防疫対策が強化されていることが背景だ。4月30日に発表された4月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は46.0と、前月(48.1)より2.1ポイント低下。好不況の判断の目安とされる50を2カ月連続で割り込み、2020年3月以降の最低値を更新した。

製造業の4月の事業活動は、供給側と需要側の双方が前月に続いて収縮。(供給側の指標である)生産指数と(需要側の指標である)新規受注指数は、そろって2020年3月以降の最低値を記録した。新型コロナの再流行が製造業の生産や物流、市場の需要に広く影響を与えている実態を反映している。

なかでも打撃が大きいのが物流だ。調査対象企業からは「製品を顧客に納入することが困難になり、注文を取り消された」という声も寄せられた。物流の混乱は外需の回復の重石にもなっている。4月の新規輸出受注指数は2020年6月以降の最低値に沈み、拡大基調と縮小基調のボーダーラインを9カ月連続で下回った。

従業員の職場復帰が困難に

そんななかで、製造業の雇用はまだ相対的に安定している。3月に拡大基調圏に浮上した雇用指数は、4月は再び縮小基調圏に逆戻りしたものの、低下幅はわずかだった。

とはいえ、雇用指数は4月を含む過去9カ月のうち8カ月が縮小基調となっており、今後の情勢も楽観できない。調査対象企業の一部からは、「目下の主要課題は(防疫対策の強化で出勤困難になっている)従業員の職場復帰だ」との声も聞かれた。

景況感の悪化にもかかわらず、インフレ圧力は高止まりしている。製造業の(仕入れ価格の指標である)購買価格指数は、4月は前月比では幾分低下したものの、ボーダーラインを大きく上回る水準を記録した。新型コロナの再流行に、ロシアのウクライナ侵攻の影響が重なり、さまざまな原材料の価格が高騰している影響が大きい。

本記事は「財新」の提供記事です

一方、製造業の(販売価格の指標である)工場出荷価格指数は、4月は引き続き上昇基調圏にとどまったが、その値は2022年に入ってからの最低水準に下がった。市場の需要が勢いを失うなか、企業が生産コストの上昇を販売価格に転嫁しにくくなっていることを示唆している。

(財新記者:程思煒)
※原文の配信は4月30日

出典:東洋経済ONLINE

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