米欧の3月景況感、サービス主導で改善 金融不安は警戒

【ニューヨーク=斉藤雄太、ベルリン=南毅郎】米S&Pグローバルが24日発表した米国の3月の購買担当者景気指数(PMI、速報値)は総合が3カ月連続で上昇し、10カ月ぶりの高水準になった。サービス業の新規受注の拡大を反映した。同日発表のユーロ圏の3月の景況感も改善が続いた。足元では米欧の銀行の経営不安が融資の縮小につながるとの懸念もあり、景気の先行きへの警戒感も高まっている。

今回のPMIの調査期間は米欧ともに10日開始で、米国は23日、ユーロ圏は22日まで。米銀シリコンバレーバンク(SVB)が破綻した10日以降の銀行業界の混乱に対する企業の初期反応を示す指標になる。

米国の総合PMIは53.3と前月比で3.2ポイント上昇した。2022年5月(53.6)以来の高水準で、好不況の分かれ目になる50を2カ月連続で上回った。

目立ったのはサービス業の指数の改善で、53.8と3.2ポイント上がった。堅調な消費や売り上げの増加を映し、サービス事業者の新規受注は22年9月以来の増加を記録した。サプライヤーの納期の改善などを追い風に製造業のPMIも49.3と2ポイント上昇したが、節目の50は5カ月連続で下回った。

サービス業では需要の強さから販売価格が引き上げられ、雇用の拡大も進んでいるという。賃金上昇によるコスト負担増を訴える企業の声も根強い。

ユーロ圏の総合PMIは54.1と2.1ポイント上昇し、米国と同様に10カ月ぶりの高水準になった。サービス業が55.6と2.9ポイント上がり、全体の改善をけん引。賃上げ機運が高まるなか、旅行業などを中心に個人消費が持ち直しているもようだ。

製造業は47.1と1.4ポイント低下し、節目の50を下回る状態が続いた。サプライチェーン(供給網)の混乱は自動車業界で改善に向かうものの、製造業全体では新規受注が減少するなど需要の落ち込みが目立つ。

調査会社キャピタル・エコノミクスのアリアン・カーチス氏は「PMIは先進国が1〜3月期の景気後退を回避するだけでなく、企業活動の見通しも改善していることを示唆した」と指摘する。

ただSVBなどの相次ぐ米銀破綻やスイスの金融大手UBSによるクレディ・スイス・グループの救済買収など、最近の金融システム不安の影響を企業はまだ織り込み切れていない可能性もある。米欧では他の銀行の経営不安もくすぶり、これから銀行が融資に慎重な姿勢を強めることで家計や企業の活動に響くリスクが高まっている。

S&Pグローバルのクリス・ウィリアムソン氏は「最近の利上げによる金融環境の引き締まりや銀行業界のストレスから生じる不確実性が、需要の回復力に与える影響を見極めることが重要になる」と指摘する。

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