【イスタンブール=木寺もも子】トルコ中央銀行は22日、金融政策決定会合を開き、主要政策金利の1週間物レポ金利を年9%で据え置くと決めた。11月の会合で、それまで続けていた利下げを完了したと明らかにしており、その路線を踏襲した。政労使は同日、最低賃金を1年前の2倍にすると決めた。80%を超えるインフレが収まるかは見通せない。
トルコの消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比84%に上り、経済学の定石なら利上げする状況だ。だが金利は「悪」という信念を持つエルドアン大統領の意向を受け、中銀は反対に11月までの4会合連続で利下げを行った。エルドアン氏は「年内に1桁台」の金利を掲げていたため、前回で目標を達成した形だ。
インフレ率は直近のピークだった10月の85%からわずかに鈍化している。当局は金利を据え置く中、年末以降に急上昇した前年の反動で今後も物価上昇が緩やかになるとの期待がある。
ただ、インフレの実態は統計局がまとめる公表値よりも厳しいとの声が根強い。エルドアン氏は2023年1月からの最低賃金が22年1月比で2倍の月8500リラ(ネット、約6万円)になると発表した。7月の改定時からは5割増となる。それでも労働組合側は政労使の協議から最後は退席するなどして不満を表明した。
23年半ばまでに大統領選と議会選を控えるエルドアン政権は、インフレに不満を持つ国民に配慮した歳出拡大に動いているが、ばらまきは物価の上昇圧力になりかねず、難しい対応を迫られている。政府は一部の対象者に対して年金の受給年齢を引き上げるかどうかも検討している。
出典:日本経済新聞