5月の米中古住宅価格、2011年以来の下落率 販売は増加

【ニューヨーク=佐藤璃子】全米不動産協会(NAR)が22日発表した5月の中古住宅販売価格(中央値)は39万6100ドル(約5650万円)で前年同月比3.1%下落し、2011年12月以来の大きな下落率を記録した。販売件数(季節調整済み、年率換算)は3カ月ぶりに前月比プラスとなり、前年同月比でも減少率が縮まった。

住宅価格は3カ月連続で下落した。住宅ローン金利の上昇が続いた影響で、住宅価格を引き下げないと取引が成立しにくくなっている。その半面、価格下落が住宅需要を刺激し始めており、販売件数は前月比0.2%増と小幅に増加した。販売件数はダウ・ジョーンズまとめの市場予測(425万戸)も上回った。前年同月からは20.4%減ったが、減少率は22年夏ごろの水準まで縮小した。

住宅ローン金利が一時よりは多少落ち着いた水準で推移していることも販売件数を下支えした。「住宅ローン金利が比較的安定しているため、販売件数も一定のペースを保っている」とNARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は指摘する。21日発表の米抵当銀行協会(MBA)の調査によると、30年固定の住宅ローン金利(週平均)は足元で6.73%となった。ローン金利は22年10月に一時7.16%と01年以来の高水準を記録したが、ここ1カ月ほどは6%台後半で推移している。

とはいえ、販売件数の水準は低迷している。米連邦準備理事会(FRB)が大幅利上げに踏み切る前の22年初と比較すると3割強少ない水準にある。米PNCフィナンシャル・サービシズのエコノミストは「低金利下で組んだローンを手放したくない人が多く、その結果需給のバランスが崩れている」としたうえで、米住宅市場は当面弱含みで推移するとの予測を展開した。

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