韓国の23年成長率1.4%に下振れ、政府が対中輸出支援

【ソウル=細川幸太郎】韓国経済の苦境が深まっている。韓国銀行(中央銀行)が25日、2023年の国内総生産(GDP)の実質成長率見通しを2月時点の1.6%増から1.4%増に下方修正した。半導体はじめ化学や鉄鋼などの需要低迷が長期化し、輸出や設備投資の見通しを引き下げた。政府は対中輸出支援を表明するなど浮上のきっかけを探っている。

2月時点の予想から下方修正した項目は輸出と設備投資、研究開発投資の3つ。いずれも半導体産業の不振の影響が大きい。さらに化学や鉄鋼といった市況産業も中国の生産活動の回復遅れから低迷している。

韓銀の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は同日の記者会見で「半導体市況と中国経済の回復速度が想定より遅れている」と話した。李総裁は下半期の回復期待に言及したものの、24年の成長率見通しは2.3%増と前回予想の2.4%増から0.1ポイント引き下げた。

韓国経済の屋台骨である輸出は前年同月比で7カ月連続の減少が続く。4月の輸出額は全体で14%減。そのうち中国向けは27%減で、4%減にとどまった米国とは対照的だった。

そのため産業通商資源省は中国輸出の拡大策を表明した。電池や電気自動車(EV)、バイオ医薬品といった成長産業分野において展示会出展を支援し、政府系金融を通じて融資する。化粧品や衣料品などで韓国ブランドの販売拡大も促す。

韓国では尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が米韓同盟を重視する姿勢を打ち出し、最大の貿易相手国の中国との取引額は減少傾向が続いている。韓国政府には米国一辺倒では中国との関係悪化を招くとの危機感もある。地理的に近く、半導体や素材産業の主要輸出先である中国との経済関係をつなぎ留めておきたい思惑もありそうだ。

出典:日本経済新聞

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