新型コロナ関連融資に関する企業の意識調査（2023年2月）

「返済に不安」を感じる企業は12.2％
～ 「旅館・ホテル」4割、「飲食店」3割と高水準 ～

はじめに

2020年に始まった政府系金融機関と民間金融機関による金利や返済条件が優遇されたコロナ関連融資制度は、2022年3月に民間金融機関、9月に政府系金融機関による受付が終了した。その後、2023年1月に「借換保証制度」が開始、返済本格化など出口に向けた段階に移ってきた。
そこで帝国データバンクは、新型コロナ関連融資に関する現在の状況や返済見通しなどについて調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2023年2月調査とともに行った。

■調査期間は2023年2月14日～28日、調査対象は全国2万7,607社で、有効回答企業数は1万203社（回答率37.0％）。なお、新型コロナ関連融資に関する調査は、2022年2月、8月に続いて3回目
■本調査における詳細データは景気動向オンライン（https://www.tdb-di.com）に掲載している

調査結果

1. 新型コロナ関連融資、「5割以上返済」が18.7％、「未返済」が29.5％
   新型コロナ関連融資を「現在借りている」企業は49.6％。さらに「現在借りている」企業のうち、2月時点で融資の『5割以上』を返済していた企業は18.7％。『未返済や今後返済開始』企業が29.5％にのぼったが、新型コロナ関連融資の返済は徐々に進んでいる傾向がみられた
2. 融資の返済開始時期、2023年中に22.3％の企業が新たに返済開始
   「現在借りている」企業の69.2％が『すでに返済を開始』。「2023年6月末までに返済が始まる」（12.3％）、「2023年12月末までに返済が始まる」（10.0％）を合わせると、2023年中に2割超の企業が新たに返済開始を迎える
3. 借入企業の12.2％が今後「返済に不安」、旅館・ホテルや飲食店で高水準に
   今後の返済見通しは、「融資条件通り、全額返済できる」企業が85.4％。一方で、「返済が遅れる恐れがある」（4.5％）や「金利減免や返済額の減額・猶予など条件緩和を受けないと返済は難しい」（5.2％）など、今後の『返済に不安』を抱いている企業が12.2％
4. 資金繰り支援、21.3％で「他の融資との一本化」を利用、「借換保証制度」も11％に
   今回の調査において政府・自治体や金融機関等による資金繰り支援について尋ねたところ、「コロナ関連融資と他の融資の一本化」が21.3％でトップ。次いで、2023年1月から始まった「借換保証制度」（11.0％）が1割超