「ゼロ・ゼロ融資」を受けた倒産、累計584件 2022年は前年比4倍増の452件に急増 ~ 「ゼロ・ゼロ融資後倒産」状況 ~

コロナ関連支援として企業の資金繰り緩和に大きな効果をみせた「実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)」を利用後の倒産(以下、ゼロ・ゼロ融資後倒産)は、2022年12月末までに累計584件に達した。
 産業別の最多は、コロナ禍が直撃した飲食業や宿泊業を含むサービス業他の184件で、対人接触型サービス業への影響の大きさを裏付けた。また、建設業103件や製造業97件も目立った。

ゼロ・ゼロ融資は、2020年3月の政府系金融機関に続き、初の緊急事態宣言が発令された同年5月から民間金融機関でも受付が始まり、同年7月に初のゼロ・ゼロ融資後倒産が発生した。
ゼロ・ゼロ融資後倒産はその後、毎月発生し、2020年は19件、2021年は113件と増加をたどり、2022年は前年比4倍増の452件と急増した。ゼロ・ゼロ融資の据置期間は最長5年で、実質1~2年が多いとみられるが、時間の経過とともに右肩上がりで倒産は増勢を強めている。
ゼロ・ゼロ融資は倒産抑制を支えたが、その副作用で「過剰債務」が懸念材料に浮上している。ゼロ・ゼロ融資後倒産は、負債1億円以上が316件と半数(構成比54.1%)を占める。一方、同期間(2020年7月~2022年12月)の全国倒産(1万6,230件)では負債1億円以上の構成比が25.4%(4,102件)で、ゼロ・ゼロ融資後倒産の半分以下にとどまる。
また、ゼロ・ゼロ融資後倒産の従業員数は10人未満が386件と6割超(構成比66.0%)に達し、このことから小・零細規模の企業が通常借入に加え、緊急避難的なゼロ・ゼロ融資で負債が膨らんだことがうかがえる。
東京商工リサーチが2022年12月に実施した企業アンケート調査で、ゼロ・ゼロ融資の利用を約半数(47.8%)の企業が回答した。このうち、約3割(28.2%)の企業が据置期間終了後に再び「返済猶予を受けている」または「返済に懸念がある」と答えている。2023年7月からゼロ・ゼロ融資の返済開始のピークが見込まれており、「過剰債務」への対応が急がれる。

  • ※ 本調査は、企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)」を受けていたことが判明した倒産(法的・私的)を集計、分析した。

2022年は前年比4倍、増勢ペースが加速

 「ゼロ・ゼロ融資後」倒産は2020年7月に初めて発生(2件)した後、毎月発生している。2020年19件、2021年113件(前年比494.7%増)、2022年452件(同300.0%増)と急増している。
一方、負債総額は2020年40億400万円、2021年517億5,700万円(同1,192.6%増)、2022年1,178億700万円(同127.6%増)で推移している。平均負債額は2021年が4億5,800万円で最も高く、2022年は2億6,000万円と前年より43.2%減少した。

ゼロゼロ融資

【産業別】サービス業他が最多

 10産業では、最多が飲食業や宿泊業を含むサービス業他の184件(構成比31.5%)で、3割超を占めた。対人接触型サービス業への影響が大きいことがうかがえる。
次いで、建設業が103件(同17.6%)、製造業が97件(同16.6%)、卸売業が88件(同15.0%)、小売業が56件(同9.5%)で続く。
上位5産業だけで528件と9割超(同90.4%)を占めた。

ゼロゼロ融資

【業種別】最多は飲食店の64件

 産業別の中分類では、最多が飲食店の64件だった。このうち、居酒屋などの酒場,ビヤホールが最も多く12件、次いで、食堂,レストランが10件、日本料理店が6件と続く。
飲食業界は、コロナ禍の行動制限や外食スタイルの変化に晒され、各種支援策を受けながらも業績回復まで持ちこたえられなかった。
また、外食需要低迷の煽りを受けた食料品製造業が30件、飲食料品卸売業が24件で上位に並んだ。このほか、資材調達の遅れ、工事延期や見直しの影響を受けた建設関連、燃料価格の上昇が追い打ちをかけた道路貨物運送業が上位に入った。

【負債額別】負債1億円以上が過半数

 負債額別では、最多が1億円以上5億円未満の234件(構成比40.0%)。次いで、1千万円以上5千万円未満の152件(同26.0%)、5千万円以上1億円未満の116件(同19.8%)が続く。
10億円以上が35件(同5.9%)、5億円以上10億円未満が47件(同8.0%)で、負債1億円以上が過半数(316件、構成比54.1%)を占めた。

ゼロゼロ融資

【形態別】破産が9割超

 形態別では、破産が535件(構成比91.6%)で9割を超えた。次いで、取引停止処分が28件、民事再生法が12件、特別清算が6件。
消滅型の法的倒産が541件(同92.6%)で9割超を占めた。事業転換を含めた再建の見通しが立たず、事業継続を断念し、消滅型の「破産」を選択するケースが大半となった。

【従業員数別】10人未満が6割超

 従業員数別では、5人未満が256件(構成比43.8%)で最多だった。
次いで、5人以上10人未満が130件(同22.2%)で続き、10人未満が386件で6割超(同66.0%)を占めた。
このほか、10人以上20人未満が115件(同19.6%)、20人以上50人未満が62件(同10.6%)で続く。中堅以上の規模となる50人以上300人未満も21件発生した。

【地区別・都道府県別】関東が最多

 地区別では、最多は関東の177件(構成比30.3%)だった。
次いで、九州147件、東北86件、近畿52件、中部45件、北海道32件、中国21件、北陸と四国が各12件の順で続く。
都道府県別の最多は、東京都89件だった。以下、福岡県53件、埼玉県44件、大分県33件、北海道32件、宮城県30件と続く。

出典:東京商工リサーチ

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