2022年度の「上場企業」倒産 年度では2年ぶりに1件発生、 テラ(株)が破産を申請(3月31日19時現在)

~ 2023年(1-2月)「エステティック業」の倒産 ~

 コロナ禍の生活様式の変化でエステティック業界が苦境に追い込まれている。 2023年(1‐2月)に入り、「エステティック業」の倒産(負債1,000万円以上)は11件(前年同期比175.0%増)と、前年同期の2.7倍に急増している。また、2022年8月から今年2月まで7カ月連続で前年同月を上回った。
 2023年に倒産した11件のうち、コロナ関連倒産は6件(構成比54.5%、前年同期1件)で、コロナ禍で遠のいた客足が戻らず、競合が激しいなかでコロナ禍の支援効果も薄れた「息切れ倒産」が件数を押し上げた。
 また、休廃業・解散は2020年から3年連続で100件台に乗せ、2022年は過去最多の116件に達した。

2023年(1-2月)に倒産した11件を従業員数別でみると、5人未満が10件(構成比90.9%)と小・零細規模が大半を占め、負債額別では11件すべて1億円未満だった。形態別では、11件すべてが破産で、新たな生活様式の浸透で先行きを見通せず、再建を諦め破産の選択を余儀なくされている。
エステティックサロンは、特別な資格が不要のため参入障壁が低く、自治体などの創業支援も後押しし、小規模での開業が多い。一方、大手企業は積極的な広告宣伝で顧客の囲い込みを強め、市場は飽和状態でサービスや施設、価格面で劣勢に立たされる企業の生き残りは難しい。
コロナ禍では政府や自治体の資金繰り支援が下支えし、倒産は抑制された。ただ、顧客が自宅で施術するセルフエステが注目され、感染リスクのある店舗での対面サービスを避ける顧客が増えたことも影響した。このため、顧客獲得競争が激しさを増し、コロナ関連支援の効果が薄れ始めた2022年8月から、倒産は7カ月連続で前年同月を上回って推移している。
最近は、店舗の業務用マシンを顧客が好きなタイミングで利用できるサブスク(定額)型セルフエステなど、新しい業態のサービスも広がっている。大手がサービスや価格で攻勢を仕掛けるなか、集客が低迷する小・零細事業者の脱落が続いている。

倒産は2022年8月から7カ月連続で増加

 2023年(1-2月)のエステティック業の倒産は11件(前年同期比175.0%増)と急増し、2022年8月から7カ月連続で前年同月を上回っている。
コロナ禍以降では、2022年8月に「脱毛ラボ」経営の(株)セドナエンタープライズ(東京、破産)が最大の倒産に追い込まれた。負債総額は約60億円。若年女性を中心に高い知名度と支持を得ていたが、「新型コロナウイルス」感染拡大による売上急減が倒産の一因となっている。
ただ、2023年(1-2月)に倒産した11件は、すべて負債1億円未満の小・零細事業者だった。コロナ禍の店舗休業が尾を引き、客足が戻らずに業績回復が遅れ、コロナ関連支援も効果が薄れた時に、電気・ガス料金など光熱費高騰によるコストアップが多忙な資金繰りを直撃。先行き見通しが立たず、倒産に追い込まれたり、廃業を決断するケースが増えている。

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休廃業・解散は2020年から3年連続で100件を超える

 2022年の倒産と休廃業・解散の合計は168件(前年比16.6%増)で、2004年以降では2020年と並び最多を記録した。
倒産は2019年の73件が最多だが、休廃業・解散件数はコロナ禍で増加しており、2022年は116件(同13.7%増)と過去最多を更新した。コロナ禍に伴う急激な売上減少も、コロナ関連支援の効果で倒産は抑制されたが、休廃業・解散は増勢を維持している。
エステティック業は競合が厳しく、他社との差別化で顧客の来店動機を高めることが求められる。また、経営の多角化や積極的な広告などで顧客増を狙う大手に対し、小・零細事業者は費用や人的な制限から抜本的な営業施策が打ち出せず、熾烈な競争から脱落する企業が多い。

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【原因別】最多が「販売不振」の10件

 原因別は、最多が「販売不振」の10件(前年同期比233.3%増)で、構成比は90.9%(前年同期75.0%)と9割を占めた。
このほか、「既往のシワ寄せ」(赤字累積)が1件(前年同期ゼロ)だった。
11件すべてが『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)で、エステティック業の業況悪化を浮き彫りにしている。

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【形態別】11件すべてが破産

 形態別は、11件すべてが消滅型の破産だった。1-2月はすべての倒産が破産を選択しており、業績回復の見通しが立たず、再建が難しいことを示している。同時に、経営ビジョンが曖昧で、手元資金が乏しいまま、借入金に依存した安易な創業への警鐘でもある。

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【資本金別】1千万円未満の構成比が約8割

 資本金別は、1千万円未満が9件(前年同期比125.0%増、前年同期4件)だった。「1百万円以上5百万円未満」が4件(前年同期1件)、「1百万円未満」(同ゼロ)と「個人企業他」(前年同期同数)が各2件、「5百万円以上1千万円未満」が1件(前年同期同数)だった。
前年同期には発生しなかった1千万円以上は、2件発生した。

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出典:東京商工リサーチ

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