~富士通の携帯電話事業を承継 「arrows」シリーズ、「らくらくスマートフォン」などを展開~
「arrows(アローズ)」シリーズや「らくらくスマートフォン」などの携帯電話端末を販売するFCNT(株)(神奈川県大和市)と関連2社は5月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。
申請代理人は鈴木学弁護士(西村あさひ法律事務所、千代田区大手町1-1-2)ほか、監督委員には伊藤尚弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、中央区八重洲2-8-7)が選任された。
同日、民事再生法の適用を申請したのは、製造部門のジャパン・イーエム・ソリューションズ(株)(兵庫県加東市)と、2社の持株会社であるREINOWAホールディングス(株)(神奈川県大和市)。
負債総額はFCNTが債権者約300名に対して約872億円、ジャパン・イーエム・ソリューションズが債権者約360名に対して約613億円、REINOWAホールディングスが債権者24名に対して約290億円で、3社合計は1775億円(保証債務含む)。
FCNTは2018年1月、富士通(株)(東京都港区)グループの携帯端末事業の見直しに伴い、富士通コネクテッドテクノロジーズ(株)(川崎市中原区)の事業を、吸収合併を通じて承継。投資会社のポラリス・キャピタル・グループ(株)(東京都千代田区)から資本を受け入れるとともに、富士通グループから切り離された。
以降はポラリス・キャピタル・グループの主導のもと、「arrows」シリーズや「らくらくスマートフォン」などのブランドを展開して、携帯キャリア向けに販売。高い知名度を有していたものの、国内外の同業他社との競合激化などで販売価格の低下などが響いたほか、のれん代の償却負担などで2022年3月期は売上高843億5500万円に対して、設立後5期連続の赤字となる15億2600万円の赤字を計上。さらに、円安の進行や世界的な半導体不足の影響で原価・費用が急激に高騰するなど、事業環境の悪化に歯止めがかからず今回の措置となった。
ジャパン・イーエム・ソリューションズは携帯電話端末の製造会社。富士通グループの携帯端末事業の再編を機に2018年6月、富士通周辺機(株)(兵庫県明石市)から、会社分割方式で事業承継し、同時に当社株式は富士通からポラリス・キャピタル・グループへと譲渡された。
製造部門として、携帯電話端末の開発製造を展開。メイドインジャパンにこだわった本社工場での生産などを特徴に2022年3月期は売上高695億5300万円をあげていたが、グループの法的整理に伴い、民事再生法を申請した。
REINOWAホールディングスは、ジャパン・イーエム・ソリューションズとFCNTとの中間持株会社で、金融機関からの資金調達の窓口でもあった。多額の負債を抱えるなか、2社に貸し付けていた資金の回収が困難となり、今回の措置となった。
ジャパン・イーエム・ソリューションズとFCNTは、REINOWAホールディングスが金融機関から調達した債務の一部を保証している。
なお、投資ファンドのエンデバー・ユナイテッド(株)(千代田区)ほか2社がスポンサーとなり、FCNTの開発する携帯端末の製造・修理を除くジャパン・イーエム・ソリューションズの事業を承継・支援する意向を表明しているという。
※FCNT(株)(TSR企業コード:027062554、法人番号:7010001189049、神奈川県大和市中央林間7-10-1、設立2018(平成30)年1月、資本金91億9650万円)
※ジャパン・イーエム・ソリューションズ(株)(TSR企業コード:027062619、法人番号:5010001189050、兵庫県加東市佐保35、設立2018(平成30)年1月、資本金16億5250万円)
※REINOWAホールディングス(株)(TSR企業コード:027062490、法人番号:8010001189048、神奈川県大和市中央林間7-10-1、登記上:東京都港区芝4-13-3、設立2018(平成30)年1月、資本金89億4055万円)
※富士通(株)(TSR企業コード:350329109、法人番号:1020001071491、東京都港区、東証プライム)
※富士通コネクテッドテクノロジーズ(株)(TSR企業コード:017167000、法人番号:4020001114710、川崎市中原区)
※ポラリス・キャピタル・グループ(株)(TSR企業コード:296134120、法人番号:3010001089698、千代田区)
※富士通周辺機(株)(TSR企業コード:670141577、法人番号:2140001075091、兵庫県明石市)
※エンデバー・ユナイテッド(株)(TSR企業コード:300145713、法人番号:8010001153111、千代田区)