ユーロ圏消費者物価、5月6.1%に鈍化 食品など伸び2桁

【ベルリン=南毅郎】欧州連合(EU)統計局が1日発表した5月のユーロ圏の消費者物価指数は伸び率が前年同月比6.1%と、4月の7.0%から鈍化した。エネルギー価格が下落に転じた一方、食品などは10%以上の高い伸びを維持した。インフレ基調は衰えておらず、欧州中央銀行(ECB)は粘り強く利上げを続ける構えだ。

市場予想の6.3%を下回った。伸び率の鈍化は2カ月ぶりで、2022年10月につけた過去最高の10.6%から鈍化基調にある。

品目別では食品などの伸び率が12.5%と10カ月続けて2桁を記録した。サービスも5.0%と3カ月連続で5%台で高止まりした。エネルギーは1.7%下落し、3月以来となるマイナスに転じた。価格変動の大きい食品やエネルギーを除くと5.3%でインフレの基調はなお強い。

国別の伸び率はドイツが6.3%で、フランスが6.0%だった。イタリアは8.1%で、スペインは2.9%。ユーロ圏20カ国のうち、伸び率が鈍化したのは18カ国だった。ラトビアやスロバキアは12.3%と高止まりしたものの、ベルギーなどでは2%台まで低下した。

同日公表した4月のユーロ圏の失業率は6.5%と3月の6.6%から改善し、過去最低水準を更新した。ドイツなどでは賃上げを求めるストライキが交通機関や小売業などで相次いでおり、労働需給の逼迫から賃金の上昇圧力が高まりやすくなっている。

ECBは次回6月15日の理事会で追加利上げに動く構えだ。市場は2会合連続の0.25%利上げを織り込んでいる。ラガルド総裁は中期的に物価が2%に戻るまで粘り強く金融引き締めを続ける見通し。

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