街を出歩いたり、観光地に行ったりすると、コロナ禍でほとんど見かけることがなかった外国人の姿を多く目にするようになった。 【グラフ】コロナ前の訪日客は月間ベースで300万人に迫ることもあった 実際、日本政府観光局(JNTO)が4月19日発表した2023年3月の訪日外国人の人数は181万人と、前年同月の30倍近くに急増。コロナ前である2019年3月(276万人)と比べても7割弱の水準まで回復した。 (※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
■3カ月で2022年通年の訪日客数を超過 2022年10月から訪日外国人の入国制限を緩和したことや、円安などの影響もあり、2023年は1~3月の3カ月間で479万人が訪れており、早くも2022年通年の水準(383万人)を上回っている。 コロナ前の2019年、訪日外国人客数は史上最高の3188万人を記録していた。観光地のホテルは高稼働で、観光客の「爆買い」により、百貨店やドラッグストアなどの売り上げが押し上げられた。
コロナ前、訪日客の多くを占めていたのは中国人だったが、足元の様相は以前とは異なっている。 2023年3月の国別の状況を見ると、もっとも多かったのは韓国の46.6万人(比率25.6%)。次いで台湾(27.8万人)、米国(20.3万人)と続き、この上位3カ国だけで全体の訪日客数の半分超を占めている。
■4月から中国からの訪日客が増加も 中国は国別順位で6位の7.6万人(4.1%)だ。これには特有の事情がある。政府は2022年12月30日、中国での感染急拡大を受け、中国からの渡航者と7日以内の渡航歴がある人に到着時のPCR検査などを必須とした。
しかし、2023年3月1日からは、中国から来た人のおよそ20%を無作為に抽出するサンプル検査へ切り替えた。4月5日からは一段と緩め陰性証明書の提示を求めず、他のすべての国への措置と同水準にした。このため4月は中国からの訪日客数も大きく伸びることが想定される。 実は、国によってはコロナ前より多く日本を訪れている国もある。米国からは、2019年3月の17.7万人から2023年3月は20.3万に増えた。ベトナム、豪州、シンガポールもそれぞれコロナ前の訪日客数を上回っている。
足元の状況は、これまでの渡航制限の反動や円安という追い風もあるだろうが、制限が緩和される4月以降に中国からの訪日客が増えてくると、全体の押し上げにもつながりそうだ。
東洋経済オンライン編集部