マレーシア、22年のGDP8.7%増 23年は減速へ

マレーシアの2022年の経済成長率は東南アジア主要国で最も高かった(写真はクアラルンプール中心部)=ロイター

【シンガポール=中野貴司】マレーシア中央銀行は10日、2022年の実質国内総生産(GDP)が前年比で8.7%増加したと発表した。けん引役の輸出が好調だったほか、失業率の低下で個人消費が大きく回復した。同様に8.7%成長を記録した2000年以来の伸びとなり、東南アジア主要国の中でも最も高い成長率となった。

22年は主力の電気製品を中心に輸出が25%伸び、成長率を押し上げた。最大の輸出先のシンガポール向けが34%増、日本向けが30%増、インドネシア向けが43%増となり、9%増にとどまった中国向けの伸び悩みを補った。

失業率が3%台と低位で推移し、賃金上昇率が物価上昇率を上回ったことで個人消費は2ケタの伸びとなった。新型コロナウイルス関連の規制解除の効果で、サービス業も10.9%の増加だった。

ただ、足元では好調な景気に陰りがみえる。10日に同時に発表した22年10〜12月期のGDPは前年同期比7%増と、7〜9月期の14.2%増から減速した。個人消費の伸び率が7〜9月期の15.1%から10〜12月期には7.4%に下がったのが主因だ。

マレーシア中銀のノル・シャムシアー総裁は10日の会見で、23年の国内経済について「世界経済の減速に伴って、成長のペースは穏やかになる」と説明した。一方で「景気後退まで至るとは考えていない」と強調した。

中銀は1月の金融政策委員会で、5会合ぶりに政策金利を据え置くことを決めた。22年の連続利上げから方針を転換し、国内景気に配慮する姿勢を鮮明にしている。

英キャピタル・エコノミクスのシバーン・タンドン氏は10日の中銀の発表を受け、マレーシアの23年の成長率予想を3.5%から3%に引き下げた。輸出の鈍化によって、23年1〜3月期以降は成長率の伸び悩みが避けられないとみている。

出典:日本経済新聞

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