【北京=川手伊織】中国人民銀行(中央銀行)は5日、市中銀行から強制的に預かる外貨の預金準備率を引き下げると発表した。これまで8%だった比率を15日から6%に下げる。外貨の流動性を高めて、金融機関が人民元を売って外貨を買う動きを弱める。人民元はドルに対して約2年ぶりの安値を更新しており、元安圧力を緩めたい考えだ。
外貨の預金準備率を引き下げるのは5月に1%下げて以来となる。元が上昇基調にあった2021年は6月と12月にそれぞれ2%上げた。
足元で元は下落が続いている。5日の上海外国為替市場で元は1ドル=6.937元で取引を終えた。20年8月17日以来の安い水準だ。
米国が利上げ局面にあるのに対して、人民銀行は景気回復のもたつきに対応するため、8月22日に今年3回目の利下げに踏み切った。中国国債の利回り面での魅力が低下し、元安圧力が高まりやすくなっている。
出典:日本経済新聞