農林水産省は21日、食料供給に占める輸入品の割合(カロリーベース)が、米国やオーストラリアなど上位4カ国が5割を占めているとの試算をまとめた。特に小麦や大豆、飼料穀物などの輸入が多く、特定国への過度な依存がリスクになっていると指摘した。
省内検討チームの会合が食料安全保障について報告書をまとめた。農業の担い手不足や輸入依存など国内10、国外15の計25種類のリスクを分析し、「国産への置き換えを着実に進めることが必要」と指摘した。
2020年度の日本人1人の1日あたりの供給熱量は2269キロカロリーで、このうち国産が37%、外国産は63%だった。国別では米国(23%)、カナダ(11%)、オーストラリア(8%)、ブラジル(6%)の順に多かった。
ロシアによるウクライナ侵攻で生じる調達不安を背景に、輸入依存度の高い飼料穀物や木材の価格高騰リスクはすでに顕在化しているとも強調した。
検討チームは、生産資材の価格高騰や頻発する自然災害などに対応するため2月に発足した。今後、食料・農業・農村基本法の検証作業を本格化させる。同法は制定から20年以上がたち、国内生産の拡大などの施策が現状に即していないとの指摘がある。
出典:日本経済新聞