コロナ禍以降「ゾンビ企業」16.5万社に、全企業の1割強が該当
~ コロナ関連融資で今後、増加の可能性も ~
はじめに
「ゾンビ企業」。バブル崩壊後、企業の過剰債務と金融機関の不良債権問題がもはや解決不能と思われるほどに重くのしかかった90年代後半の日本で生まれた言葉だ。
字義からは実質的に倒産状態であるにも関わらず、なお営業を継続している企業全体に当てはまる。対外的には、「支払うべきものを支払わない」債務不履行の状態が続いている企業、バランスシート上で累積損失によって債務超過の状態にある企業などが該当すると言えよう。さらには、銀行融資の返済条件を変更するリスケ企業や過剰債務を抱える非効率企業も当てはまろう。
加えて、立場によってもその定義は変わり、マクロ経済学的視点では「生産性の低い企業」、政治的な視点では「雇用を確保できない企業」などもゾンビ企業と考えられている。
本分析では、数量的にその実態を把握するため、国際決済銀行(BIS)のゾンビ企業の定義である「3年以上に渡ってインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)1未満、かつ設立10年以上」を採用し分析を進めた。加えて、帝国データバンクが実施した「新型コロナ関連融資に関する企業の意識調査1」から新型コロナの影響についても把握した。
■ 1帝国データバンク「新型コロナ関連融資に関する企業の意識調査」(2022年3月17日発表)
調査結果
- 国際決済銀行(BIS)の基準における「ゾンビ企業」率は2020年度で約11.3%、「ゾンビ企業」数は約16.5万社と推計
- 2020年度の「ゾンビ企業」を業種別にみると、『建設』(構成比34.3%)、『製造』(同20.0%)で半数超となった。また従業員別では、20人以下の企業が全体の約7割を占めた
- アンケートに回答した「ゾンビ企業」のうち、コロナ関連融資を「借りた・借りている」企業は約8割となった。さらに、返済を不安視する企業は15.5%に達した。コロナ禍による金融支援によって、「ゾンビ企業」が延命している可能性がある
出典:帝国データバンク