【シントラ=篠崎健太】米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは27日、5月27日が支払期日だった2本のロシアの外貨建て国債について「デフォルト(債務不履行)に該当する」との見解を表明した。発行時の条件に基づく利払いが30日間の猶予期間内に実行されなかったことは同社の格付け定義上、不履行にあたると説明した。非公式ながら格付け会社からデフォルトとみなされたことになる。
ムーディーズはロシアの外貨建て債務について「今後も利払いでデフォルトが生じる可能性が高い」と指摘した。3月には、元利金の支払いが発行条件にない通貨で実行されれば「デフォルトと扱う可能性が高い」との認識を示していた。
問題になったのは5月27日が期日だった、ドル建てとユーロ建ての国債の利払いだ。計1億ドル(約135億円)相当の決済が滞り、6月26日に猶予期間の最終日を迎えた。同社は猶予期限内に外国投資家へ利息が渡らなかったと理解していると表明した。
主要な格付け会社は経済制裁に従ってロシアの格付け業務から撤退し、ロシア国債の格付けを取り下げている。このため今回の判断は格付けに基づく正式な判断ではないが、コメントの形で事実上のデフォルトを認定した形だ。ロシアの外貨建て国債のデフォルトはロシア革命直後の1918年以来、約1世紀ぶりとなる。
当該国債の外貨による利払いが滞ったのは、米国がロシア当局から国債の支払いを受けられる特例を5月25日で失効させたことを受け、金融機関が手続きを見合わせたためとみられている。ロシア政府は支払いの意思や能力はあったが証券決済機関のユーロクリアが処理を止めた結果だとし、ロシア側に非はなくデフォルトには当たらないと主張している。
出典:日本経済新聞