5月の倒産 底打ち感を強め2カ月連続で増加、コロナ関連倒産は1.5倍増の191件
2022年5月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が524件(前年同月比11.0%増)、負債総額は873億8,000万円(同48.1%減)だった。
件数は、3月以来、2カ月ぶりに500件台に乗せ、2カ月連続で前年同月を上回った。件数は一進一退が続くが、2カ月連続の増加は2019年9月-2020年4月(8カ月間)以来、25カ月ぶり。また、5月度では2年連続で前年同月を上回り、倒産の底打ち感が強まった。
負債総額は、前年5月の(株)東京商事(東京・負債1,004億8,300万円・特別清算・ホテル経営)の大型倒産の反動で大幅に減少、2カ月連続で前年同月を下回った。負債1億円未満が385件と7割(構成比73.4%)を占める一方で、同10億円以上は14件(前年同月11件)、同5億円以上10億円未満が21件(同13件)と、倒産が中規模にも広がっている。
5月の「新型コロナウイルス」関連倒産は、191件(前年同月比54.0%増、構成比36.4%)と急増した。集計を開始した2020年2月以降の累計は、3,284件に達した。
- 「人手不足」関連倒産のうち、後継者難」が40件(前年同月36件)
- 形態別件数:破産が473件。法的倒産の構成比は97.5%
- 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが25道府県、減少19都府県、同数3県
- 負債別件数:負債1億円未満の構成比が73.4%、2カ月ぶりに70%台
- 業種別件数:飲食料品製造業、繊維工業、医療,福祉事業、道路貨物運送業などが増加
- 従業員数別件数:10人未満の構成比が88.1%、4カ月連続で80%台
- 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)は524件で、10カ月連続で100.0%
産業別 10産業のうち、6産業で前年同月を上回る
2022年5月の産業別件数は、増加が製造業、卸売業、金融・保険業、運輸業、情報通信業、サービス業他の6産業、減少は農・林・漁・鉱業、建設業、小売業、不動産業の4産業。
最多はサービス業他の181件(前年同月比16.7%増)で、3カ月ぶりに前年同月を上回った。このほか、燃料価格の高止まりなどの影響が注目される運輸業は34件(同61.9%増)で、3カ月連続で前年同月を上回った。また、製造業63件(同40.0%増)は3カ月ぶり、卸売業62件(同5.0%増)、情報通信業20件(同53.8%増)は2カ月ぶり、金融・保険業6件(同200.0%増)は2カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。
一方、不動産業14件(同41.6%減)は4カ月連続、建設業94件(同1.0%減)が2カ月連続、小売業48件(同9.4%減)が2カ月ぶり、農・林・漁・鉱業2件(前年同月5件)は4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
製造業、金融・保険業、運輸業の3産業は、2022年では最多件数だった。
地区別 倒産件数、9地区のうち、8地区で前年同月を上回る
2022年5月の地区別件数は、北陸を除く8地区で前年同月を上回った。
東北22件(前年同月比57.1%増)は、2022年1月より5カ月連続で前年同月を上回った。
このほか、九州45件(同4.6%増)は4カ月連続、北海道22件(同144.4%増)は3カ月連続、中部66件(同10.0%増)、中国29件(同61.1%増)は2カ月連続、関東197件(同8.2%増)は4カ月ぶり、近畿121件(同3.4%増)、四国14件(同55.5%増)は3カ月ぶりに、それぞれ増加した。
一方、北陸8件(同60.0%減)は、2カ月連続で前年同月を下回った。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
- 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
- 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
- 北陸(富山、石川、福井)
- 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
- 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
- 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
- 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
- 中本商事(株)/兵庫県/不動産管理業/121億円/特別清算
- (株)高尾/愛知県/遊技機器製造/66億7,900万円/民事再生法
- (有)伊勢農場/三重県/養鶏業/34億200万円/会社更生法
- オンキヨーホームエンターテイメント(株)/大阪府/音響機器・電子機器製造販売/32億700万円/破産
- (株)エンプレイス/埼玉県/カーナビゲーション・ドライブレコーダー開発販売/28億100万円/民事再生法
出典:東京商工リサーチ