【ワシントン=高見浩輔】国際通貨基金(IMF)は19日、新興国から資本流出が起きるリスクがこの半年で高まったとする分析を明らかにした。世界的なインフレが深刻化するなか、ロシアによるウクライナ侵攻で投資家が一段とリスクをとりにくくなっている。「政策当局は経済回復を危うくする無秩序な金融引き締めを回避する必要がある」と強調した。
同日公表した「国際金融安定性報告書(GFSR)」で明らかにした。報告書はロシアのウクライナ侵攻後に「資金の流れが急速に不安定になり、一部の国では急に反転した」と指摘。ブラジルやインドネシアのような資源国が堅調な半面、エネルギーを輸入に頼る新興国で株式市場などから資金流出が起きたと分析した。
IMFは新興国から資本流出が起きる確率を、前回の報告書を公表した2021年10月時点で20%としていた。今回の報告書では30%に引き上げた。インフレや過剰な債務に悩む新興国がより強い逆風を受ける。新型コロナウイルスの感染急拡大で金融市場が揺れた20年3月のような経済ショックが起きた場合には、確率が50%まで高まる可能性があるとも付け加えた。