日本の損害保険会社が、ロシアでの保険引き受けを全面停止したことがわかった。契約更新も含めて受け付けていない。経済制裁に対抗してロシア政府が自国の保険会社と、日米欧など「非友好国」の保険会社との取引を禁じたためだ。リスク管理の面でロシアでのビジネス継続が困難になり、日系企業の「脱ロシア」がさらに進む可能性がある。
東京海上日動火災保険と損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険の3社は、ロシアに進出した多くの日系企業に火災保険や賠償責任保険などを実質的に提供してきた。こうした企業向けの保険は通常、1年契約がほとんどで更新手続きが欠かせない。今回の引き受け全面停止により、日系企業にとっては無保険状態に陥ったり、保険料が割高になったりする恐れが高まる。
これまで3社は日系企業が契約したロシアの保険会社や、欧州の保険会社の現地法人と再保険契約を締結。このロシア国内の締結先を仲介役にする形で、日系企業の保険を引き受けていた。東京商工リサーチによるとロシアには日系企業200社が進出している。
現在3社は、取引先にロシアの保険会社を紹介している。ただ、ロシア経済への信用度が著しく低下する中、契約に二の足を踏む企業は多いとみられる。ロシアの保険会社と契約しても3社は関与できないので、保険料が高くなったり、補償内容が縮小されたりする可能性がある。
日本勢以外でも、独アリアンツなどが引き受け停止を発表している。
出典:読売新聞