件数は50年間で4番目の低さ、「新型コロナ」関連倒産は792件
2020年の負債総額1000万円以上の倒産はトータルで7773社(前年比7.2%減)とバブル期並みに少なくなりました。1000万円未満の企業の倒産が近年になく多かったのと比較すると対称的な結果となりました。負債総額も1兆2200億4600万円(前年比14.2%減)と大きく改善しています。その中でコロナ関連の倒産は792社とおおよそ1割ほどです。トータルで8000件を切ったのは平成頭以来で30年ぶりです。また1971年以降の50年間で見ても4番目の少なさと近年の中でも倒産の少ない年になりました。さらに負債総額も50年で4番目の少なさになりました。
このようになった理由はコロナ関連の行政関係を中心とする様々な支援策に助けられたところがあります。
ポイント
2020年の企業倒産状況のポイントについてまとめてみます。
人手不足の関連倒産のうちで後継者を探せなかったケースが370件あった。
倒産件数を都道府県別で比較すると件数が減少したのが26都道府県、増加は19府県にとどまる。2県は変わらず。3年ぶりに減少が増加を上回る。また感染状況の深刻な東京都も倒産は減少している。
負債総額10億円以上の大型倒産は198件にとどまって3年ぶりに200件を割る。
宿泊業・飲食業は当然ながら増加。また輸送用機械器具製造業も前年比倍以上の増加。
この中で従業員が10名未満の会社が全体の88.5%と9割近くを占める。中小というよりも零細企業クラスの倒産が多くなっている。
上場企業・大手企業の倒産もレナウン・Nutsと2社あった。
6つの産業で前年を下回る
2020年だけで見ていくと10産業のうちで6産業で前年を下回る結果となりました。
その中でも新型コロナウイルスの影響でインバウンドの需要の大幅な減少や自粛で影響を受けた外食・旅行などのサービス業を中心に倒産が増えています。また農林漁鉱業、金融保険業も倒産件数は増えました。逆に巣ごもりする方が多かったので小売業は過去30年で倒産件数が最も少なくなっています。その他卸売業・建設業・製造業・運輸業・情報通信業も前年を下回る倒産で収まりました。不動産業に関しては前年と同数でした。
地区別では7地区で前年を下回る
地区別では北陸と中国を除く7地区で前年を下回りました。北海道は過去30年で最小の175件。東北も3年ぶりに減少に。関東は企業数が多いので他地区より倒産は多いも30年ぶりの3000件未満にとどまりました。また中部と近畿も過去30年で最小件数に収まりました。四国と九州も減少しました。中国に関しては3年連続の増加です。北陸に関しては前年と同数です。
業種別では生活関連サービス業と娯楽業が倒産件数を押し上げました。増加は4産業・減少が5産業・変わらずが1産業。
ここでは新潟県と山梨県を関東地区・東海4県と長野県を中部地区・北陸3県を北陸地区・中国地区と四国地区を分けて分類しています。
参考資料・出典
東京商工リサーチ:https://www.tsr-net.co.jp/news/status/yearly/2020_2nd.html