政府が28日決定した総合経済対策は、電気・ガス料金の負担軽減策やガソリン補助金の来年1月以降の延長などが盛り込まれた。 財政健全化に向けて予算のめりはりが求められる中、所得制限などによって対象を絞らない「バラマキ」色の強い施策も目立つ。国会の議決を経ずに政府の判断で使用できる予備費も膨らみ、財政規律の緩みに拍車が掛かりそうだ。 「過度な財政出動はインフレにつながる。10兆円ぐらいで十分だ」―。経済官庁幹部は当初、自民党内で「30兆円以上」の財政出動を求める動きをけん制した。しかし、予備費に4.7兆円を積み増すことなどで、対策に伴う2022年度第2次補正予算案の規模は30兆円近くまで膨張。政策の中身より「規模ありき」の経済対策の取りまとめが繰り返された格好だ。 新型コロナウイルス感染拡大への対応で、大型の財政出動が繰り返され、財政状況は一段と悪化。国の借金である国債の残高は22年度末に1029兆円まで拡大する見通しだ。今回の対策の目玉である電気・ガス料金の負担軽減策が、ガソリン補助金同様に長期化した場合、財政支出はさらに拡大する。 英国では、財源を国債に依存したエネルギー価格急騰対策や大型減税案が、金利上昇や通貨ポンドの下落を招いた。市場関係者の間で財政健全化の重要性が改めて認識される中、大型の財政出動を打ち出した日本。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「財政の悪化は国債への信認低下を助長するため、通貨の信認低下につながり、円安加速のリスクを高める」と指摘した。 一方、鈴木俊一財務相は28日の臨時閣議後の記者会見で「市場からの信認が失われることがないよう、責任ある経済財政運営を進めなければならない」と強調した。
出典:Yahoo!ニュース